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電気通信大学産学官連携センター 第126回研究開発セミナー

未来社会創造 〜人とAIの共存による安全・安心・豊かな未来社会を目指す〜

日時 2022年5月26日(木) 13:30〜16:50
開催方法 オンライン形式(Zoom)
主催 電気通信大学 産学官連携センター
共催 電気通信大学 産学官連携センター事業協力会
後援 (社)目黒会 (電気通信大学同窓会)
参加費 無料

 今、我々は、歴史的にも大きな変曲点におります。科学・技術の発展、コロナ禍・政治的な混乱の中で、DXの急速な進化、何処ででも誰とでも繋がる時代、価値観が多様化し、主体性が求められる時代、経済的価値だけでなく、人間関係などからくる社会的価値が、より直接的な「生きる糧」になる時代、「人と人」「人とモノ」「モノとモノ」の関係性が変化する時代、こうした中で、「人とAI」の関係も大きく進化しつつあり、お互いに共創・共存する時代になりつつあります。
 本セミナーでは、安全・安心・豊かな未来社会創造のために、人とAIがどのように共創・共存を図っていくことが出来るか、様々な分野の第一線研究者からご講演をいただき、参加者の皆様と一緒に考えていきたいと思います。

プログラム

開会挨拶
  学長 田野 俊一
招待講演
「安全・安心・豊かな未来社会をどう創るか 科学技術予測調査をベースにした取組み」
  文部科学省科学技術・学術政策研究所
  科学技術予測・政策基盤調査研究センターフェロー 浦島 邦子 氏
講演
「AI によるCOVID-19 感染者数予測を通した未来社会シミュレーションへの期待」
  人工知能先端研究センター 特任教授 慶應義塾大学理工学部 教授 栗原 聡 氏
講演
「医デジ化による持続的医療環境の実現」
  情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 准教授 小泉 憲裕
講演
「スパコン「富岳」を用いた脳のシミュレーション〜脳の仕組みの理解を目指して〜」
  情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 准教授 山ア 匡
閉会挨拶
  産学官連携センター長 大須賀 昭彦
企画 産学官連携センター 客員教授 久野 美和子


お申込み

参加ご希望の方は こちら の申込みフォームからお申し込みください。

チラシ

プログラム詳細チラシ(PDF)


講演概要


招待講演
「安全・安心・豊かな未来社会をどう創るか 科学技術予測調査をベースにした取組み」

文部科学省科学技術・学術政策研究所
科学技術予測・政策基盤調査研究センターフェロー 浦島 邦子 氏

■講演概要

 科学技術予測・政策基盤調査研究センターでは、科学技術および科学技術と将来社会との関わりを見通すため、1971年から約5年ごとに大規模な科学技術予測を継続的に実施しており、世界で最も長い歴史を持っています。この科学技術予測は、今後30年間という中長期の未来展望であり、多数のステークホルダーのご協力のもと、シーズ側の視点だけでなく、需要側の視点、また人文・社会科学の専門家の視点も取り入れた俯瞰的な調査設計となっていることが特徴です。これまで11回実施されており、成果はデータベースとして所のHPに公表されています。未来に関するデータはそれほど多くないことから、結果は政府のみならず、企業の研究開発プランやロードマップ作成の参考として多く利用されています。今回は、2018年〜19年に実施した第11回調査の結果を主に、予測調査の歴史や科学技術政策との関連、これから日本が目指す未来社会像などについてご講演いただきます。


講演
「AI によるCOVID-19 感染者数予測を通した未来社会シミュレーションへの期待」

人工知能先端研究センター 特任教授 慶應義塾大学理工学部 教授 栗原 聡 氏

■講演概要

COVID-19感染拡散推定はもとより、緊急事態宣言・GOTOキャンペーン等の政策の効果や実施期間の推定、そしてワクチン接種やワクチンパスポート・投薬の適切な運用の推定はWith/Afterコロナ社会の舵取りにおける根幹であり、内閣官房COVID-19 AIシミュレーションプロジェクトはその役割の中心を担ってきました。本講演では、プロジェクトメンバーとして、構築した「冪乗則に従う人の行動様式」「複雑ネットワークとして構築した移動ネットワーク」に基づく感染シミュレーションの紹介を通して、社会シミュレーションという技術の、現実を理解するためのツールとして、そして未来をデザインするためのツールとしての重要性について議論します。


講演
「医デジ化による持続的医療環境の実現」

情報理工学研究科 機械知能システム学専攻 准教授 小泉 憲裕

■講演概要

 われわれが提唱・推進している医デジ化(Me-DigIT)とは『医療技能の技術化・デジタル化』という概念の略称で、医療診断・治療における技能を機能として抽出、分解・再構築(構造化)し、これを定量的に解析し、さらにデジタル・機能関数としてシステムの機構・制御・画像処理・アルゴリズム上に実装、システム上で医療の質の向上(機能向上・最適化)を図ろうとするものです。医学および生物学に数理、情報、AI、ロボット技術など、さまざまな理工学技術を巻き込んで、今まさに技術革新が起ころうとしています。医デジ化により、『旧時代的解析医学』から脱却して『新時代的デジタル解析医学』を推進することで、医療を長い修練の後に初めて身につく個別具体的な職人技から医療デジタル機能関数化により誰もが簡便で随意にハンドリングできる単純・明解なものとすること、またその帰結として10-20年後の日本および世界の医療技術水準を飛躍的に向上・底上げし、なおかつ持続可能なものにしてゆこうとするのが我々の医デジ化研究プロジェクトの目的です。


講演
「スパコン「富岳」を用いた脳のシミュレーション〜脳の仕組みの理解を目指して〜」

情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 准教授 山ア 匡

■講演概要

 現在の機械学習・人工知能(AI)技術は、特定のドメインにおいては非常に優れた性能を示しているが、ヒトのような高度な意思決定や柔軟かつ頑健な汎用的な情報処理は未だにできていません。ヒトが示す高度な情報処理は脳の働きによるものだと信じられており、約860億個のニューロンが複雑に結合したネットワーク上で、スパイクと呼ばれる電気パルスを交換することで成し遂げられていると考えられています。ヒトの脳の動作原理は未だに解明されていないが、それを構成する単一ニューロンについては非常に良くわかっており、その挙動を具体的に数式で書き下すことができます。よって、860億ニューロン分の数式を全てプログラムしスパコンで力任せに解けば、理屈の上ではヒトの脳の活動をスパコンで再現することが可能です。そのような脳のデジタルコピーを作成して神経活動の再現と予測を行う研究分野がシミュレーション神経科学であり、脳の様々な機能のメカニズムの解明、脳の病気の原因の検討、ひいては低消費電力の汎用AI開発のためのツールとして機能しうるものと考えられています。本セミナーでは、文部科学省「富岳」成果創出加速プログラムにおける我々の取り組みと、脳のシミュレーションがもたらす未来について議論します。

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