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電気通信大学 共同研究センターメール No.53 Web版

発行:2007年9月25日

目次

  1. 産学官連携の現状と課題
  2. 第20回国立大学法人共同研究センター専任教官(教員)会議
  3. イノベーションジャパン2007
  4. 対外活動と社会貢献

産学官連携の現状と課題

共同研究センター長 下条 誠

「経済財政改革の基本方針2007」、「長期戦略指針『イノベーション25』」、「知的財産推進計画2007」等の政府の各種の行政方針・計画において、産学官連携の強化を図る必要性が指摘されている。厳しい国際競争の中、イノベーション創出を求められている我が国にとって、産学官連携はその実現のための重要な手段であり、大学においては、多様な産学官連携活動を組織的・戦略的に展開することが求められている。
この産学官連携の現状と課題として、大学等の努力やそれを支える制度改正、国による支援等により、各大学等の知的財産体制整備は着実に進展しており、その結果,企業等と大学等との共同研究や受託研究が着実に増加し、大学等からの特許出願件数や実施件数が増加している。その中で優れた成功事例も出てきている。ただし、産学官連携の課題として、大規模な共同研究は増加していないこと、また産学の間で意識に隔たりあることが指摘されている。また特許出願件数に対し、特許の利用はそれほど進んでいない点も課題である。
ここで、本学の共同研究の実績をみると平成18年度は182件であり、全国で26位であった。本学のように電気通信を主とする工科系単科大学としては健闘していると思われる。研究分野別で共同研究・受託研究の国立大学での実績を分析した資料がある1)。この研究分野とは、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジ、その他に分けられている。それによると情報通信分野の占める割合は相対的に少ない。平成18年度のデータでは、共同研究の件数では情報通信は全体の10%でライフサイエンスの約1/3ほど、受託研究件数でも情報通信は14%でやはりライフサイエンスのやはり約1/3程度であり、全分野の中で一番少ないという結果である。研究分野の流行は世の習いとはいえ、このような厳しい情勢の中、本学はより一層の努力が必要となる。
次に,特許出願件数は90件であり全国で28位である。これは知財本部の働きかけ等が大きく貢献したと思われる。ただし、特許実施件数、特許実施料収入で上位30位には入っていない。この点、これからは出願特許の活用を関係企業等に働きかけるなど、出願者の協力の下、産学官連携コーディネータ等の積極的な取り組みも必要であろう。
また更なる展開として、基礎研究の成果を産学官連携を通してイノベーションにつなげることが必要であろう。産学官連携の最近の成果事例として、革新的金属材料「金属ガラス」の開発例がある。科学研究費補助金(萌芽期)基礎研究結果を、戦略的創造研究推進事業(発展期)へと発展させ、部材メーカーとの密接な産学連携の下で従来の機械加工では不可能であった超小型・高精密・高強度機械部品を開発したものである。現在ゴルフクラブヘッド、世界最小モータなど産業応用へつなげ1,760億円の市場を創出したとある。
このように、大学においても科学研究費補助金での基礎研究の成果を、技術展開が可能なものは積極的の科学技術振興機構(JST)/新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)等の外部へのプロジェクトへの申請を通して、応用展開をはかることを目指すべきであると考える。

1) イノベーションの創出に向けた産学官連携の戦略的な展開に向けて
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu8/index.htm(文部科学省HP)

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第20回国立大学法人共同研究センター専任教官(教員)会議

共同研究センター専任准教授 田口 幹

平成19年9月6日(木)13:30より、第20回国立大学法人共同研究センター専任教官(教員)会議は当番校である金沢大学により金沢大学自然科学系図書館において開催されました。  今回の会議は、主テーマを「法人化で大学は何が変わったのか−3年間経過した時点での自己検証」として、4つの分科会に分かれて議論しました。この会議は国立大学法人化により各大学で地域の特性にあった産学官連携モデルが確立されつつあることをふまえ、各共同研究センターが抱える問題点や課題について議論し、情報を共有するとともに、今後の各センターの活動の参考にすること、および、専任教員同士がお互いをよく知り合って、本音で語り合える仲間、相談できる仲間をできるだけ多く作ることを目的としています。本年度の会議の公式参加者は56大学88名、その他、文科省から講演2名、金沢大学長はじめ、学内関係の聴講者10名の計100名となりました。
第1日目は、林 勇二郎 金沢大学長から開会のご挨拶に続き、全体会として開催校の 渡辺 良成 准教授を議長に選出後、幹事会を代表して田口准教授より会議の趣旨説明がありました。その後、文部科学省 研究振興局 研究環境・産業連携課 技術移転推進室の 吉田 秀保 室長補佐から文部科学省の施策説明として「産学官連携の戦略的な展開に向けて」と題した基調講演がありました。続いて、文部科学省 研究振興局 基礎基盤研究課 ナノテクノロジー・材料開発推進室 阿部 義男 調査員から「ナノテク・材料分野の文部科学省の施策と産学連携への期待」と題した講演がありました。
その後、「共同研究センター再編をとりまく状況」、「地域振興および地域連携ネットワークへのとりくみ」、「教育と人材育成に果たす産学連携の効果」、「知的財産運用の現状と問題点」の4つの分科会に分かれて、よりつっこんだ報告と議論が重ねられました。70分を超える議論の後、再び、全体会が開かれ、各分科会での議論について報告を行いました。また、会則の一部変更を承認した後、来年度の本会議の幹事と幹事長を選出し、来年度の国立大学法人共同研究センター専任教員会議は宇都宮大学を当番校として開催することが承認されました。最後に山本 博 金沢大学共同研究センター長の閉会のご挨拶で本会議は終了しました。夕刻からは、会場をKKRホテル金沢に移して情報交換会を行い、和やかな雰囲気の中、さらに意見交換を深めて第1日目を終了しました。
第2日目は、金沢大学共同研究センター併設インキュベーション施設において金沢大学の産学官連携活動の説明の後、「金沢大学創立五十周年記念館『角間の里』」、技術支援センター・環日本海域環境研究センター及びハードラボ施設をめぐる、オプショナルツアーが開催されました。

専任教官(教員)会議 会場
専任教官(教員)会議 会場

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イノベーションジャパン2007

平成19年9月12日(水)から3日間、日本全国の大学が学内に保有する優れた知財、産業シーズを広く産業界に紹介することを目的に、(独)科学技術振興機構(JST)、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の主催、文部科学省、経済産業省、内閣府、日経BP社の共催で有楽町の東京国際フォーラムにおいて表記展示会が開かれました。別名を「大学見本市」と称し、国公私立の大学の展示では最先端技術7分野のシーズ展示が257ブース、大学知財本部70ブース、全国のTLO(技術移転機関)が18ブース、大学発ベンチャービジネスが22ブース、その他に大学発ベンチャー支援機関、産学連携に取り組む主催者のJST、NEDOが出展しました。また、ブース展示以外では、注目される新技術やビジネスモデルを研究者が自らプレゼンテーションする「新技術説明会」で188件の発表、著名人の講演を行う「イノベーションジャパン2007フォーラム」などのプログラムで、今年度は主催者発表で44,000人以上の入場者があったわが国最大の大学関係展示会です。
初日の12日午前には日本経団連評議会副議長・ソニー(株)代表執行役社長の 中鉢 良治 氏による「イノベーションの創出を目指して」と題した基調講演がありました。また、13日午前には 平野 眞一 名古屋大学総長による「知識基盤社会における大学イノベーション」、14日午前には脳科学者の 茂木 健一郎 氏の「脳と人間」、(株)サキコーポレーションの 秋山 咲恵 代表取締役社長による「日本発グローバルトップブランドへの挑戦」と題した基調講演が行われました。
本年度のシーズ展示では、「ナノテク・材料」、「バイオ・アグリ」、「医療・健康」、「環境」、「新エネルギー・省エネルギー」、「IT」、「ものづくり」の7分野に分かれて展示しました。昨年度の「環境・エネルギー」分野を「環境」と「新エネルギー・省エネルギー」に分けたのが特徴的でした。
電通大関連では、知的財産本部・共同研究センターと(株)キャンパスクリエイト、シーズ展示では情報通信工学科の 西 准教授の「手ぶれ計測・補正評価システム」が出展しました。新技術発表会では展示した以外に70件のプレゼンテーションが行われましたが、電子工学科の 早川 教授が「電磁気手法を用いた地震短期予知法の開発」についてプレゼンテーションを行いました。
企画プログラムでは12日に「産学連携による人材育成のすすめ−先進事例からの示唆−」、「理想に燃える若手産学連携人材がベテランと挑む−NEDOフェロー企画」が、13日には「大学知的財産本部成果還元祭−今後の産学官連携の戦略的な展開に向けて−」、「技術経営力の強化に向けて」が、14日には「技術ロードマップコミュニケーション−学会による研究/技術ロードマップの実践と価値」、「産学官連携サクセスストーリー−産学連携成功のつぼ−」と題したフォーラムが開催されました。  特別協賛セミナーでは特別共催している野村證券の提供でIPO実践セミナーが開催され、12日に 前田 隆正 前目黒会会長が「ビジネスモデルの構築と事業計画書の書き方」を講演しました。
イノベーションジャパンは今回が4回目ですが、毎年企業の研究開発担当者や経営者、大学の研究者が参加しており、多くの共同研究や特許の移転交渉に結びつく展示会です。
来年も開催の予定ですので、教員諸氏も一度御見学いただいて、もし出展してみたいと思われましたら、是非、共同研究センターに御相談下さい。

イノベーションジャパン2007の展示
イノベーションジャパン2007の展示

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対外活動と社会貢献

地域貢献部門会議

平成19年6月27日(水)、東6号館803会議室において平成19年度第3回目の会議が以下の議題で開催されました。

  1. 地域科学技術理解増進活動推進事業機関活動支援第2次募集について
  2. 調布市まちつくり市民大学事業「親子見学会」におけるミュージアム公開および「子ども工作教室」のパネル・作品展示について
  3. 「年度計画(平成18年度)に係わる実績報告」の地域貢献部門の項について
  4. 「年度計画(平成19年度)」の地域貢献部門の項について
  5. 地域貢献シンポジオン2007について
  6. 教職員ボランティアシステムについて
  7. その他報告事項

平成19年7月25日(水)、東6号館803会議室において平成19年度第4回目の会議が以下の議題で開催されました。

  1. シンポシオン2007について
  2. 教職員ボランティア活動支援システムについて
  3. その他報告事項

平成19年9月5日(水)、東6号館803会議室において平成19年度第5回目の会議が以下の議題で開催されました。

  1. シンポシオン2007について
  2. 教職員ボランティア活動支援システムについて
  3. その他報告事項

小山商工会議所から来訪

平成19年6月26日(火)、小山商工会議所から電気通信大学の産学官連携活動を見学する目的で、10名の方々がお見えになりました。共同研究センター315号室において三木機構長のご挨拶、安田キャンパスクリエイト社長から電通大TLOの紹介の後、SVBLと機器分析センターを見学しました。その後センターに戻り、リエゾン部門の活動紹介の後参加者と関係者が意見交換を行いました。

産学連携学会 第5回大会

平成19年6月28日(木)、29日(金)の両日にわたって産学連携学会の第5回大会が山形県米沢市の「伝国の杜」で開催され、田口准教授が出席しました。約250名の参加者がありました。もっとも多くの参加者があったのは「地域イノベーション」の関連でしたが、海外展開や国際連携、学金連携などのタイムリーなセッションも充実した内容でした。

R16ミニTAMAビジネスセッション

平成19年7月3日(火)、京王プラザホテル八王子においてロボットをテーマとした表記展示会が開催され、本学からは松野研究室のレスキューロボットと田口研究室のスケーティングロボットを展示しました。比企産学官連携 コーディネータ、小島産学官連携 コーディネータ、田口准教授が参加しました。

「第3回産学官連携 DAY in 電通大」報告会

平成19年7月6日(金)、共同研究センター4階研修室において「第3回産学官連携 DAY in 電通大」に参加した各部署の担当者が集まり、報告会を行いました。本年のイベントはおおむね成功だったとの結論になりました。来年度も産学官等連携推進本部として「産学官連携 DAY in 電通大」を開催することとしました。

テクノトランスファー in かわさき2007

平成19年7月11日(水)〜13日(金)の3日間、川崎のKSPにおいて「テクノトランスファー in かわさき2007」が開催されました。比企 産学官連携 コーディネータ、小島 産学官連携 コーディネータ、田口准教授が参加しました。今年度は本センターのメンバー交代もあり準備できずに本学は展示に参加しませんでしたが、20を超える大学・研究機関の参加があり、来年度から再び参加することとしました。

ものつくりに活かす先端技術セミナー

平成19年7月19日(木)、さいたま新都心の新都心ビジネス交流プラザにおいて、産学連携支援センター埼玉の主催で「福祉・医療分野における次世代ロボットセミナー」が開催され、田口准教授が「ヒューマンアシストロボットの開発」と題して講演しました。80人を超える参加者でこの分野への関心の強さがうかがえるセミナーでした。

首都大学東京産学公交流会2007

平成19年7月26日(木)、首都大学東京南大沢キャンパスにおいて表記交流会が開催され、小島 産学官連携 コーディネータ、田口准教授が参加しました。20を超える研究室のパネル展示と3コースに分かれた研究室ツアーがあり、二人の研究科長が挨拶するなど首都大学東京の産学公連携に対する意気込みが感じられる交流会でした。

NBC産学連携・地域再生プログラム勉強会

平成19年7月27日(金)、NBCの会議室において今年度第1回目の勉強会が開催され、小島 産学官連携コーディネータと田口准教授が出席しました。今回は大分大学地域共同研究センターの盛岡産学官連携コーディネータが「地域の発展に向けた取組み−食の安全から免疫活性まで」と題して、大分大学の取り組みを紹介しました。

コラボ産学官理事会

平成19年8月3日(金)、コラボ産学官プラザ in Tokyo において今年度第4回目の理事会が以下の議題で開催され、田口准教授が参加しました。

  1. コラボ産学官の非営利法人への移行について
  2. (財)全日本地域研究交流協会・東京都信用金庫協会・コラボ産学官共催による目利き人材研修事業について
  3. イノベーションジャパン2007への参加企画について
    協賛団体企画・検証『コラボ産学官 & 中国深セン市虚擬大学』

「産学公・東京技術交流会」実行委員会

平成19年9月10日(月)、 都庁第一本庁舎33階の特別会議室S2において平成19年度の産学公・東京技術会議の運営委員会が開催され、田口准教授が参加しました。今年度は10月25〜26日に東京Big Sight で開催される産業交流展2007との同時開催となります。

東芝キャリア(株)から来訪

平成19年9月18日(火)、東芝キャリア(株)から三谷 技術顧問、長澤 技師長と斉藤 元北見工大地域共同研究センター専任教授がおいでになり、田口 専任准教授と産学連携について懇談しました。

イノベーションコーディネータフォーラム2007

産学官連携コーディネータ 小島 珠世

平成19年9月20日(木)、21日(金)の両日、長崎の全日空ホテル グラバーヒルにおいて(独)科学技術振興機構の主催で表記フォーラムが開催され、田口准教授、比企 産学官連携 コーディネータ、小島 産学官連携 コーディネータが参加しました。このフォーラムは (1) 全国各地域の様々な機関に所属・活動しているコーディネート人材間でのネットワーク形成の促進、(2) 科学技術や産学官連携に携わる各種コーディネート人材全体に共通の問題意識や解決策の共有によるコーディネート人材全体のスキルアップ、(3)コーディネート人材間での科学技術や産学官連携に関する効率的な情報・意見交換を行うことを目的としたもので、全国から200名を超える産学官連携コーディネータや共同研究センター専任教員などが参加しました。

平成19年度インターンシップ実績(速報)

客員教授(インターンシップ担当) 本多 武

今夏のインターンシップは例年と同様に9月末で終了の見込みです。これも企業・団体様の大きなご支援、ご理解を戴けたこと、および学生のインターンシップにかける熱意の賜物です。  インターンシップを履修した学生は、学部3年生76名、大学院1年生109名の合計185名になりました。また、学生の受け入れを承諾戴いた企業様は146社に達しましたが、残念ながら30社の企業様には学生を派遣することが出来ませんでした。  この場をお借りして、学生を受け入れて戴きました企業・団体様に厚く御礼申し上げますと共に、学生を派遣できなかった企業・団体様にはお詫び申し上げます。来年もまた企業・団体様と学生の素晴らしい一期一会の場を作りたいと存じます。なお今年度のインターンシップの実績報告は次号のセンターニュースで報告の予定です。

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