電気通信大学 共同研究センターメール No.52 Web版
発行:2007年6月25日
目次
- センター長就任にあたって
- 第6回産学官連携推進会議(京都)報告
- 第3回産学官連携 DAY in 電通大報告
- 第12回共同研究成果報告会
- お知らせ
- 対外活動と社会貢献
- 新産学官連携コーディネータ自己紹介
センター長就任にあたって
共同研究センター長 下条 誠
本年4月からリエゾン部門長(共同研究センター長)を拝命しました知能機械工学科の下条です。国立大学においては平成16年度の法人化を機に、大学の使命として教育、研究に加えて、研究成果の社会還元が位置づけられました(国立大学法人法第22条)。知の世紀といわれる21世紀、知の創造とその活用を図り、社会還元へつなげて取り組みとして産学官連携を大学として推進するリエゾン部門の活動は非常に重要な役割を担っています。
平成18年度国立大学での民間企業との共同研究は12,000件を突破し、300億円とのことです。この伸びは、過去5年間で件数、金額とも2倍ほどとなっております。本学では、平成18年度の共同研究は182件、3.3億円程となっており5年間でほぼ2.5倍とこれを上回る伸びを示しております。これは本学では、共同研究、知的財産の取扱い等の産学連携を支援す
る組織が非常にしっかりしており、その活動を活発に行なってきた結果であると考えます。この共同研究の推進には、シーズとニーズのマッチングが最重要と思われます。企業は大学の提案するシーズはわからないと言い、大学側のシーズ資料を回覧してもほとんど反応はない、との報告もあります。
大学側もニーズをにらんだシーズ提案をすべきでしょうが、研究シーズからの目利きが早く、決済も早い外国企業に研究シーズを取られることもあることから、企業側もシーズの発掘方法を検討する必要もあるのではと考えます。企業はニーズからのシーズ展開の研究を期待し、大学はシーズからの展開を望んでいる。この間のマッチングをはかることが共同研究推進での重要な鍵である思います。
本学では本年度から新たに1名が加わった2名の専任の産学官連携コーディネータ体制で臨んでまいります。更なる展開を目指して,目利きのコーディネータが,企業,研究室の訪問などの活動を進めて参ります。皆様方のこれまで以上のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
第6回産学官連携推進会議(京都)報告
産学官等連携推進本部 客員教授 竹内 利明
第6回産学官連携推進会議は、6月16日(土)、17日(日)に、国立京都国際会館で開催されました。内閣府特命担当大臣(科学技術政策・イノベーション)の高市 早苗 さんの基調講演、株式会社 東芝 取締役会長 岡本 正 さんの特別講演で始まりました。今年は、参加者の出足が早く、基調講演が始まる時には、2階席の一番上まで満席状態でした。あちらこちらから再会を喜ぶ挨拶の声が聞こえてきました。
昼休みには、エキシビジョンセッションが4つ開催され、中小企業基盤整備機構主催の「地域と中小企業に届く産学官連携」において「電通大の産学官連携、3年で3倍の理由」というテーマで発表しました。このセッションは、定員120名のところ、途中入退場も含め250名が来場しました。アンケート結果を見ると「大変良かった」が52%、「良かった」が41%と多くの方に高い評価をいただきました。
今年の特長は、これまでは2日間に渡って会議、表彰式が開催されていたのを、初日に集約して、2日目は展示会だけになりました。このため、2日目の参加者が減少するのではないかと危惧しましたが、実際には2日目も盛況で、じっくりと展示を見て歩き、ブースで来場者と懇談できるなどの効果がありました。
分科会報告では、例年通り「産業界」からの参加者が少ないことが、話題となりました。確かに産業界の参加者数は、登録ベースで過去最低で、第1回の約3割という悲惨な状況になっています。産業界がもっと参加すべきであるという意見や参加を働きかけるべきであると言われていましたが、私は、産業界が参加したくなるセッションが少ないことにも原因があるように感じました。2日目の展示会では、当日登録で名刺を付けた企業の参加者もある程度見られました。
交流会は、初めてアネックスホールで開催されましたが、外まで人が溢れていました。最初に産学官連携推進会議を提唱した財務大臣の尾身幸次さんが挨拶しました。科学技術政策には予算を付けたいと言って会場の拍手を受けていましたが、付けたいがない袖は振れないとも言っていました。
例年のとおり、参加者名簿を集計して、「産・学・官」それぞれの参加者数を過去の推移とともに報告します(こちらにあります)。大学等からの参加者は、昨年より増加して、特に国立大学法人が増加傾向にあり、大学関係者の集まりという様相が更に高まっているように感じます。高専が熱心に展示をしていることも目立ちました。自治体関係者の参加も着実の伸びていて、自治体の展示も増えてきたことから、産学官連携が、国の政策から自治体の政策へと普及しているように感じました。中小企業基盤整備機構が、働きかけて中小企業経営者に参加を呼びかけて、近畿を中心に集まってきたということですが、残念ながら、産業界全体では過去最低の参加者数でした。
第6回産学連携推進会議
第3回産学官連携 DAY in 電通大 報告
産学官等連携推進本部 客員教授 竹内 利明
3年目を迎えた産学官連携 DAY in 電通大は、6月6日(水)に学内外から約600名が参加して盛況に開催された。今年は、大学院のベンチャー・ビジネス特論の授業を一般公開する形で基調講演を開催したところ、一般参加者と学生合わせて約350名が出席して、大教室が満員になった。講師は、地域・産学官連携推進機構客員教授の 後藤 芳一 氏((独)中小企業基盤整備機構理事)で、「ニーズ型社会と新しい事業機会−技術シーズ主導から社会ニーズ対応への転換」をテーマに講演した。また、(独)情報通信研究機構(NICT)から本学が今年度初めて受託した「民間基盤技術研究促進制度(地域中小企業・ベンチャー重点支援型)」の公募説明会を開催した。その他に例年と同様、電気通信大学の産学官連携活動を一堂に集めて、企業の皆様に1日で全てを体感していただける機会を作ることを目的に企画した。具体的には、電通大発ベンチャー企業展示コーナー、第11回学生・一般アイディアコンテスト(ショートプレゼンテーションの後パネル発表)、第12回共同研究成果報告会、機器分析センター設備公開、共同研究相談会(本学TLOである(株)キャンパスクリエイトの産学連携コーディネータ)、特許相談コーナー(知的財産本部弁理士)、各種ポスターセッション(平成18年度SVBL研究成果報告、学生・一般アイディアコンテスト優秀賞成果報告)を開催した。
アイディアコンテストは、29件の発表の中から、知能機械工学科1年生の千葉昭弘君が提案した「ICカードを利用した駐輪場管理システム」が最優秀賞に輝き、研究費50万円を獲得した。学部1年生の最優秀賞受賞は画期的で、将来の活躍が期待される。夏休み中の試作完成を目指して準備を進めている。
当日は、本学の産学官連携推進活動を多面的に支援していただいている多摩信用金庫から、多くの参加者が来場すると共に、取引先企業にも参加を呼びかけていただいた。多摩地域の企業に密着した金融機関の代表である多摩信用金庫の強力な支援で、電気通信大学の産学官連携推進活動を地域の中堅・中小企業に地道に繰り返して広報していただいている。中堅・中小企業との産学官連携を推進するうえで、金融界との連携の重要性が高まっている。今後の更なる支援を期待したい。
第3回産学官連携 DAY in 電通大 基調講演
第12回共同研究成果発表会
第3回産学官連携 DAY in 電通大の一環として第12回共同研究成果報告会を開催しました。
発表されたのは以下の5件でした。
- 新規金属錯体に関する研究
〜ヘテロ金属錯化合物からなる単分子磁石の開発〜
根津 将、岡澤 厚、石田 尚行、野上 隆(電気通信大学)
小金 民造(K-arin21) - カサ貝様巻貝、Latia neritoides の生物発光
丹羽 治樹、中村 光裕、小島 哲(電気通信大学)
近江谷 克裕(産総研関西センター) - 計算量的安全性を有する暗号プロトコル
太田 和夫、國廣 昇、米山 一樹(電気通信大学)
太田 陽基(KDDI研究所) - 触覚センサを用いたロボットハンドによる把持動作の研究
郡司 大輔、溝口 義智、明 愛国、下条 誠(電気通信大学) - 近赤外光を用いた非接触型微量流量計の研究
山下 健作、久保田 壮一、山田 幸生、大川 晋平(電気通信大学)
有本 英伸(産総研)、落合 洋(東京計装)
口頭発表分と報告のみの論文を含む「第12回共同研究成果論文集」を発行しました。
第12回共同研究成果発表会
お知らせ
OPAL-RING vol. 3(Web版)
好評を頂いている「研究室紹介 共同研究初めの一歩」の第3版94研究室分が完成しました。今回は分野別に分類し、キーワード検索機能もあります。
PDF版もダウンロードできます。ご利用ください。
http://www.kikou.uec.ac.jp/ から御覧になれます。
本センターのホームページからもリンクしてあります。
産学官連携コーディネータ
4月1日から文部科学相派遣の産学官連携コーディネータとして 比企 春夫 さんが、6月1日から本学の産学官連携コーディネータとして 小島 珠世 さんが着任されました。自己紹介は記事の後にあります。皆様どうかよろしくお願いいたします。
対外活動と社会貢献
地域貢献部門会議
平成19年4月9日(月)、本館5階会議室において平成19年度第1回目の会議が以下の議題で開催されました。
- 平成18年度活動報告書について
- 教職員ボランティア活動支援システムについて
平成19年5月30日(水)、本館4階特別会議室において平成19年度第2回目の会議が以下の議題で開催されました。
- 教職員のボランティア活動支援システムについて
- 小学校の理科授業の支援員の募集依頼について
- その他報告事項
インターンシップ実行委員会
平成19年4月11日(水)、共同研究センター4階研修室において平成19年度第1回目の会議が、今年度の各学科専攻のインターンシップ担当教員のご紹介と共同研究センタースタッフ紹介の後、以下の議題で開催されました。
- 平成18年度の活動報告
- 平成19年度の活動計画(案)
- 企業への受入照会状況
- その他
コラボ産学官理事会
平成19年4月27日(金)、コラボ産学官プラザ in Tokyo において今年度第1回目の理事会が開催され、田口専任准教授が参加しました。
産学官等連携推進本部運営委員会
平成19年5月9日(水)、共同研究センター4階研修室において平成19年度第1回目の会議が以下の議題で開催されました。
- 共同研究及び受託研究の受入れについて
- 地域貢献部門長候補者の選出について
- その他報告事項
大分大から来訪
平成19年5月11日(金)、大分大学イノベーション機構からイノベーション統括マネージャーの伊藤教授がおいでになり、田口 専任准教授と産学連携について懇談しました。
産学官連携推進に関する検討会
平成19年5月14日(月)、共同研究センター4階研修室において共同研究推進担当、リエゾン担当、共同研究活性化担当の客員教授の方々と本年度の各学科・専攻の連絡教員にお集まり頂いて、今年度の産学連携推進に関する検討会を開催しました。各先生の自己紹介と 三木 機構長のご挨拶の後、竹内 客員教授からリエゾン部門(共同研究センター)の活動紹介があり、種々意見の交換を行いました。
三鷹ネットワーク大学評価部会
平成19年5月17日(木)、三鷹ネットワーク大学において今年度の評価部会が開催され評価委員である 田口 専任准教授が参加しました。
首都大学東京産学公連携センターから来訪
平成19年5月18日(金)、首都大学東京産学公連携センターから草間センター長代理、檀浦係長がお見えになり、田口 専任准教授と産学連携の推進について懇談しました。
TAMA産業活性化協会総会
平成19年6月12日(火)、八王子スクエアビルのイベントホールにおいて本年度のTAMA産業活性化協会通常総会と講演会が開催され、比企 コーディネータ、小島 コーディネータ、田口 専任准教授が参加しました。
KIPC(関東インターンシップ協会)総会
平成19年5月26日(土)、新宿の工学院大学において本年度のKIPC総会が開催され、田口専任准教授が参加しました。今年度からKIPCは正式にJIPC(日本インターンシップ協会)に発展しました。
コラボ産学官総会および学長フォーラム
平成19年5月29日(火)、コラボ産学官プラザ in Tokyo においてコラボ産学官の総会が開催され、田口専任准教授が参加しました。その後、コラボ産学官3周年記念行事として、梶谷 理事長の司会で、コラボ産学官正会員の各大学の学長による学長フォーラムが開催されました。9大学の学長をパネリストとしたパネルディスカッションでの発表はそれぞれに個性的で魅力あるものでした。
産学官連携活動の紹介
平成19年5月30日(水)、共同研究センター4階研修室において主に新任の教職員の方々向けに本学の産学官連携活動の紹介を行いました。最初に、下条 産学官等連携推進本部副本部長(共同研究センター長)からあいさつ及び機構の紹介がありました。続いて、竹内 客員教授からリエゾン部門(共同研究センター)の活動紹介、堀 知財本部副本部長から知的財産本部の活動紹介、安田 社長からTLO((株)キャンパスクリエイト)の活動紹介、田口 専任准教授から本学の利益相反マネジメントについての説明がありました。
インターンシップ体験交流会
平成19年6月1日(金)、B棟202講義室において本年度のインターンシップ履修希望生向けにインターンシップの体験交流会を開催しました。インターンシップ担当の本多 客員教授の司会で昨年度インターンシップに参加した学生諸君が自分の体験と後輩へのアドバイスなどを発表しました。
新産学官連携コーディネータの自己紹介
比企 春夫
本年4月1日付けで、電気通信大学 共同研究センターに産学官連携コーディネータとして着任いたしました。「即、戦力!」のつもりで参りましたが、前任者の小川 俊也様の長い間のご活躍のあとでもあり、その落差を痛感し、一刻も早いキャッチアップをと努力している毎日です。産学官連携が一般にも浸透してきているようで、元の会社の面々に話をしても、すっと話が通じます。産学官連携に積極的な大学や企業の方々に支えられている事は間違いありません。そうした大事な活動の一翼を担えることは大きな歓びでもあります。
私は本学 電波通信学科 陸上通信専攻を1965年に卒業し、家電メーカーに就職しました。そこでは、ビデオ機器の研究・開発、パソコンの事業化、家電機器間インターフェースの標準化などに携わり、シーズからニーズまでを身近に体験してきました。こうした経験を産学官連携活動に活かして行きたいと考えています。
小川 俊也コーディネータが対処してこられた諸問題(1.マーケットと研究課題とのマッチング、2.研究成果の完成度と実用化開発プロセスへの適合性、3.特許出願と製品開発におけるタイミング、4.大学の研究スピードと企業の期待及び満足度、5.共同研究等の実施における研究マネジメント)については継続的にフォローして行くと共に、これからは、国際的な連携へ進む必要があると思っています。大学の研究成果が国の内外を問わず、有効的に活用され、大学の評価が高まることにより、世界から教育者が集まり、学生にとってもより魅力的な大学になることでしょう。
微力ではございますが、そうした活動に全力であたりたいと思いますので、どうぞよろしくご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
小島 珠世
6月1日より電気通信大学共同研究センターに産学官連携コーディネータとして採用された 小島 珠世 です。共同研究センターで産学連携を中心とした多様な経験を持つ先生や先輩方のご指導のもと共同研究等の産学連携の推進や展示会準備等の業務を行っています。今後はこれまで大学内外で好評を得ているOPAL−RINGの今年度版vol.4の製作などにかかわります。OPAL-RINGは電気通信大学の産学連携にかかわる方々のさまざまな創意工夫が盛り込まれた研究室紹介集です。このOPAL-RINGを作っていく中で、電気通信大学の研究や先生方について、また研究のみならず校風などについても少しずつ理解を深め、共同研究のきっかけを作っていきたいと思います。また、先月まではNEDOフェローとして(株)新潟ティーエルオーでの業務を通して産学連携について学んでおりました。その間に得たノウハウなどを少しでも電気通信大学で活用していけたらと考えています。 まだまだ半人前ですが、よろしくご指導くださいますよう、お願いいたします。