Center for Industrial and Governmental Relations

産学官連携支援部門サイトHOME > ピックアップ > 共同研究センターメール > 電気通信大学 共同研究センターメール No.47 Web版

電気通信大学 共同研究センターメール No.47 Web版

発行:2006年3月25日

目次

  1. 共同研究ノウハウ
  2. 第64回研究開発セミナー
  3. 対外活動と社会貢献

共同研究ノウハウ

共同研究センター長 中嶋 信生

法人化2年目の共同研究は、合計130件余り、契約金額は約3億円となる予定で、前年度と比較しますと、件数で50%、金額で3倍の伸びを示しました。間接経費は約3000万円で、大学へも大きな貢献ができました。関係する皆様に感謝します。 ところで、新たに共同研究を始めた教員を中心として、特に年度末になるとその業務に忙殺される方も多いと察せられます。そこで自らの経験を通じて、「共同研究とのつきあい方」を紹介したいと思います。
自分の研究の場合、スケジュールは自分で決められます。教育や他の業務が多忙な場合、ゴールは比較的自由に調整できます。しかし共同研究の場合は、終わりが決まっています。つまり日頃の研究とは進め方が違います。卒業研究の場合も同じと言われるかもしれませんが、出来た所がゴールの卒業研究と違い、当初の目標実現が求められます。
ところでこのような違いは実はあまり大きな問題でなく、日頃の対応が重要です。進捗打ち合わせ直前になって慌てて実験を行い、何とか間に合うとホッとして、そのうちにすぐ次の打ち合わせが来てしまうという経験をされる方が多いのではないでしょうか。教員は他の業務も多くあるからですが、ここで別の業務をちょっと踏み止まって、次の課題解決の布石をまず打っておくことをお勧めします。必要な部品の調達や学生への指示などです。なかなかできないことですが、これで余裕を持って計画を進めることができます。
一般の研究も同じですが、結論を頭に描きつつ検討を進めても、大抵そのようにはならず、やっているうちに新しい発想がでてきます。時間的余裕がないと、その大事な部分が不完全燃焼で終わってしまいます。
特に年度末になると、他の業務が重なって「引き受けなければよかった」ということにもなりかねません。でもそれは、引き受けたことが問題なのではなくて、計画の進め方に問題のあることが大半だと思います。目標と時期がはっきりした共同研究は、研究を推進する良い原動力になっており、むしろ新しい発想が生まれやすい環境を提供していると、これまでの経験から考えています。

このページのTOPへ

第64回研究開発セミナー報告

共同研究センター客員教授 岩田 直高

平成18年3月3日(金)午後1時より表参道のナジックプラザ(株式会社学生情報センター)内にあります電通大スカイオフィスセミナーホールにおいて、「次世代携帯機器の長時間使用のために」−電池、半導体デバイスと回路の最新技術と展望− と題して第64回研究開発セミナーが開催されました。今回のセミナーは、電通大スカイオフィスで開催される最初の研究開発セミナーとなりましたが、中嶋共同研究センター長のご挨拶の中で初参加の方に挙手をお願いしところ、多くの方の手があがり、場所柄か聴講者の幅が広がったと感じました。
携帯電話に代表される携帯機器の多機能化と高性能化が進んでいます。本セミナーでは、この携帯機器の長時間使用に向けた高容量電池や様々な省電力化技術とその開発動向を示し、展望を議論しました。
最初のご講演は、ソニー(株)情報技術研究所 通信研究部 高周波技術担当部長の高木 光太郎 様による「高容量電池と携帯機器デバイスの低電圧化」と題するもので、携帯電話の多機能化と高性能化への変遷、そして長時間使用に向けた高容量電池開発の状況と端末に課せられる要件を示されました。特にRF送信電力増幅用パワーアンプの低電圧動作化が課題であることを指摘され、歪補償回路による解決策を示されました。
2番目の講演は、小職による「移動体通信用GaAsデバイスの高効率低電圧動作化」と題するもので、携帯電話のフロントエンドデバイス(特にパワーアンプ)として使用されているGaAsデバイスを、物性やデバイス特性から議論するとともに、現状のヘテロ接合デバイス技術の紹介と低電圧動作化に向けた試みを示しました。
コーヒーブレーク後は、東京大学大学院 新領域創成科学研究科 基盤情報学専攻の高木 信一 教授に、「先端LSIにおける高性能・新構造CMOSデバイス技術」と題するご講演を頂きました。ハイパーフォーマンスSiデバイス開発の第一人者の高木先生には、最先端のハイパーフォーマンスデバイス技術のご紹介から省電力化へのアプローチ、さらに今後の技術展望までお話を頂きました。
最後に省電力回路技術のご講演を、中央大学 理工学部 情報工学科の榎本 忠儀 教授に頂きました。榎本先生は、動画像の符号化ICの開発でご高名な先生ですが、「CMOSディジタル回路における低電圧・省電力技術」と題して、基礎的な省電力回路技術から、最新の研究成果までのお話を頂きました。
後半の先生方のご講演は、時間の関係で準備して頂いた資料を全部使うことができず、申し訳ないことになりましたが、おかげさまでセミナー自体は、携帯端末システムからの要求、それを受けた電池技術、デバイス技術、回路技術と盛りだくさんであり、聴講された方は、何がしか参考になるなど興味のある技術情報が得られたのではないかと思います。

第64回研究開発セミナー
第64回研究開発セミナー

このページのTOPへ

対外活動と社会貢献

レスキューロボット等次世代防災基盤技術の開発第四回国際シンポジウム

平成18年1月13日(金)、講堂において表記シンポジウムが開催され、本センターが後援しました。

NBC産学連携委員新年会

平成18年1月16日(月)、本年最初のNBCの産学連携委員会が開催されました。

明治大学社会連携促進知財本部シンポジウム2006

平成18年1月17日(火)、明治大学アカデミアホールにて同大学の社会連携促進知財本部によるシンポジウムが分理融合型産学連携をテーマに開催され、田口専任助教授が参加しました。

調布市商工会ものづくりアイデアコンテスト審査委員会

平成18年1月18日(水)、および1月30日(月)、調布市商工会において表記審査委員会が開催され、田口専任助教授が審査委員として参加しました。

文部科学省・特許庁・発明協会・日本弁理士会主催パテントコンテスト表彰式

平成18年1月27日(金)、虎ノ門パストラルにおいて平成17年度の表記コンテストの優秀発明の表彰式が行われ、選考委員であった田口専任助教授が出席しました。

関東インターンシップ協会(KIPC)組織基盤委員会

平成18年1月31日(火)、本郷のKIPC事務所において表記委員会が開催され、田口専任助教授が参加しました。

BT( British Telecom )より来訪

平成18年2月1日(水)、BTよりワイヤレス通信に関する調査団が来訪され、中嶋センター長、唐沢AWCC長、三木教授、アーネットの岡田社長がMIMOやAWCCに関して懇談しました。

島根大学産学連携センターを訪問

平成18年2月6日(月)、田口専任助教授は島根大学産学連携センターを訪問し、昨年11月30日(木)、12月1日(金)の2日間に電気通信大学青山スカイオフィスセミナーホールで室蘭工業大学、島根大学と本学とで開催した大学連携高度技術研修について報告会と今後の取り組み方について懇談しました。島根大学からは北村専任教授、室蘭工業大学からは小金客員教授が参加しました。

「あすのまち三鷹」フェア2006

平成18年2月10日(金)、三鷹産業プラザにおいて表記フェアが開催され、小川産学連携コーディネータ、本多客員教授と田口専任助教授が訪問しました。

太田工業フェア2006

平成18年2月16日(木)〜18日(土)の3日間、蒲田の太田産業プラザ(PiO)において、第10回目になる表記フェアが開催され、本センターも参加しました。

大学における知的財産権研究プロジェクトシンポジウム

平成18年2月17日(金)、青山スカイオフィスセミナーホールにおいて、知的財産本部がお受けしている平成17年度の「 大学における知的財産権研究プロジェクト」シンポジウムが開催されました。

文部科学省より来訪

平成18年2月24日(金)、文部科学省研究振興局研究環境・産業連携科技術移転推進室からこの2月1日に着任された 井上 卓己 室長他2名が来学され、本学の産学連携と知的財産に取り組む姿勢についてヒアリングされました。

第5回たま工業交流会

平成18年2月24日(金)、25日(土)の2日間、立川の昭和の森を会場として第5回目のなる表記展示会が開催されました。今年から会場が狭くなった関係で本学からは出展しませんでしたが、小川産学連携コーディネータが参加しました。

調布市東部公民館で講演

平成18年2月25日(土)、調布市東部公民館学習室において東部公民館主催の時局講演会が開催され、田口専任助教授が「友達になれるロボットをめざして」と題して講演しました。

産学官等連携推進本部運営委員会

平成18年2月27日(月)、本センター4階研修室において、産学官等連携推進本部運営委員会が下記の議題で開催されました。

  1. 各部門長候補者の選出について
  2. 共同研究及び受託研究の受入について
  3. 大学発ベンチャーによる大学施設の使用許可申請について
  4. 客員教員について
  5. その他報告事項

コラボ産学官理事会

平成18年2月27日(月)コラボ産学官 in Tokyo において企画委員会、広報委員会並びに第10回理事会が開催され、田口専任助教授が参加しました。

第10回「信頼性とシステム安全学」シンポジウム

平成18年2月28日(火)、電気通信大学IS棟2F大会議室において、第10回目になる電気通信大学大学院情報システム学研究科 田中 健次 研究室,鈴木 和幸 研究室主催のシンポジウム「信頼性とシステム安全学」が開催され、例年どおり本センターが後援・広報しました。

第13回「Sensing and Perception」シンポジウム

平成18年3月3日(金)、電気通信大学IS棟2F大会議室において、第13回目になる電気通信大学大学院情報システム学研究科・ヒューマンインターフェース学講座主催のシンポジウム「Sensing and Perception」が開催され、例年どおり本センターが後援・広報しました。

産学連携プラザ

平成18年3月9日(木)、立川のパレスホテルにおいて東京都中小企業振興公社多摩センター主催の表記相談会が開催され、本センターから田口専任助教授と小川産学連携コーディネータが出席しました。直接共同研究に結びつくような相談はありませんでしたが、参加された200社あまりの企業の方々は参加各大学のブースで熱心に情報収集をしていました。

中国より調査団来訪

中国シンセンの深港産学研基地から北京大学の 史 守旭 教授を団長とする6名の調査団が来日され、産学官連携に携わる施設等の視察の一環として、平成18年3月23日(木)午後、本センターを来訪され、本学の産学連携について懇談しました。本学からは 中嶋 地域・産学官等連携推進機構長、田口専任助教授、堀知的財産本部副部長、米山知財マネージャと安田キャンパスクリエイト社長が出席しました。熱心に情報収集をしていたのが印象的でした。

平成17年度「インターンシップ推進フォーラム2006 」

平成18年3月9日(木)13:30〜17:00 学術総合センター 一橋記念講堂において、文部科学省 主催、NPO法人 産学連携教育日本フォーラム(WIL)協力で標記のフォーラムが開催されました。インターンシップ推進担当中野・本多客員教授と事務補助員小峯が出席しました。出席者数約300名、全国の国公私立大学・高専、企業・団体等から出席の集会でした。
文部科学省審議官(高等教育局担当)泉 紳一郎氏の主催者挨拶と高等教育局専門教育課長浅田 和伸氏のフォーラムの主旨説明があり、続いて味の素株式会社顧問、社団法人日本経団連 産学連携官推進部会長 山野井 昭雄氏による、基調講演「人材育成とインターンシップ」がありました。事例紹介は、1.「社会応用情報システム構築に資する人材育成」白川 功氏(兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科長・教授)2.「CSR(企業の社会的責任)インターンシップ・プログラム」中村 陽一(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)がありました。もう一つの基調講演は「キャリア教育の重要性」と題して、筑波大学大学院人間総合科学研究科教授 渡辺 三枝子氏でした。
文部科学省は平成12年から毎年「インターンシップ推進全国フォーラム」を開催してきました。平成17年度より質の向上を狙い、大学院修士課程を対象に、「長期派遣型高度人材育成協同プラン」を実施、20校を選定して実施しました。平成18年度はキャリア教育の優れた実施についての支援もします。これらの活動では大学と企業の共通の理解が必要であり、このような集会を通してインターンシップの質の更なる向上を期待するとのことでした。
筑波大学教授渡辺三枝子氏の基調講演は、学生の視点にたち、大学人としての冷静な観察に基づいた的確な講演内容であり、たいへん感銘を受けました。「キャリア教育」という用語があいまいな定義で乱用されている中で、現状を明快に解説され、課題を提示していただき、共感するところが多々ありました。関心がありましたら以下のページを参照して下さい。お役に立つと思います。
http://www.city.yokohama.jp/me/shimin/kinshi/kinyoko/k0406t2.pdf

以上
(文責 客員教授 中野  喬)

このページのTOPへ