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電気通信大学 共同研究センターメール No.42 巻頭言

共同研究の意義とメリット

共同研究センター長 教授 中嶋 信生

法人化後、大学運営費の自己調達がいよいよ深刻な課題となってきました。それに伴って共同研究の活発化があちこちから求められていると思います。これからは、共同研究費のうち10%を大学の共通費として充てることになりました。大学にとって重要な資金源になった訳です。
ただし、やみくもに共同研究を行うことが目的ではありません。それによって大事な教育や研究がおろそかになっては本末転倒です。また、共同研究に対するインセンティブが特に規定されていない現在、教員に新たな負荷を強いることになります。大学は今、ジレンマに陥っています。どのようにして資金獲得と教育・研究の両立を実現していったらよいでしょうか?
ここで共同研究の意義を考えてみたいと思います。研究資金が獲得できる。これは異論がないでしょう。(1)そして本来目的としている研究が進む。これは理想的です。(2)企業に貢献する対価として研究資金を獲得する。これは異論が出そうです。しかし、実用化研究であっても、そこに新規性やオリジナリティがあれば意義があると思います。更にわが国に国際競争力をつけるという観点でも重要です。大学発ベンチャーのきっかけになる可能性もあります。(3)研究のシーズが発見できます。ニーズの発見ばかりではありません。1人で考えることはたかが知れています。他人とのコミュニケーションから得られることは非常に多いです。増して共同研究は、同じ分野でのコミュニケーションですので効果は高いでしょう。世の中の技術ニーズや新技術はものすごい速さで変化しており、得意分野のみの情報収集では不足です。(3)は共同研究のメリットとして非常に大きいと思います。
さてインセンティブの問題ですが、各教員に全ての面で大学への貢献を求めることが果たして効率的か、検討する必要がありそうです。そろそろ各人が自分の得意分野に重点化する時期に来ているでしょう。その場合、教育、基礎研究、応用研究の3分野にわかれるでしょう。そしてそれらのバランスも必要だと思います。併せて各分野への貢献度評価とインセンティブを実施して行く必要があります。これらは今後の全学的課題です。
本学は他大学に比べて、応用研究の比率が少ないように見受けられます。それは情報収集・交換の不足にも起因しています。もう少し各教員が外部動向に関心を持つだけで、研究的興味の対象はかなり変わるでしょう。その結果として、共同研究が活発化になることを期待しています。共同研究の促進はそれ自身が目的ではありません。前述の特徴をご理解の程よろしくお願いします。

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