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電気通信大学 共同研究センターメール No.39 巻頭言

「研究力」を高める産学連携に向けて

共同研究センター長 教授 森崎 弘

国立大学の法人化を間近に控えて、様々な大学評価が行われ始めている。大学評価機構のような官製の評価に加えて、マスコミによる評価も雑誌や新聞紙面で大きく取り上げられている。その中で、最近、日本経済新聞が行った、大学の「研究力」のランク付けはかなりのインパクトがあったように思える。各種の評価項目を数値化してランク付けしているだけに、説得力がある面は否定できない。そこでの電通大の評価は残念ながらかなり低いものであった。研究力を、研究企画力、成果発信力、産学連携力の3項目に区分けし、それぞれに均等配点をして評価している。研究企画力には、科学研究補助金やその他の競争的研究費の獲得額、COEの採択数などがカウントされ、成果発信力には、これまで研究の活性化度を表す指標とされてきた教官あたりの論文掲載数だけでなく、教官あたりの特許出願数もカウントされている。さらには、産学連携力として、共同研究等の実績や大学発ベンチャーの輩出数、TLOを通して行なった技術移転実績や知的財産本部の設置状況などが評価の対象になっていた。
このような評価項目の選定が大学の研究力の真の姿を反映しているかどうかには、疑念を持たれるむきもあろうかとは思われるが、見方を変えれば、社会が大学に期待している部分をマスコミが敏感に感じ取って、このような項目を選定したとも言えよう。本学には厳しい結果になっている一方で、早くから危機意識を持って改革に取り組んできたと思われる大学の評価が非常に高いことは紛れもない事実である。本学でも、共同研究の実績等、着実に増えていることはデータが示している通りであるが、他大学も産学連携の意識の高まりから数量的には同様に増えているので、比較した時にはそれほどの差が出るとは思えない。むしろ問題は、社会の大学への期待が変化してきていることを本学の教官サイドが敏感に感じ取って危機意識を持って対応してこなかったことにあるのではないだろうか。この点に関しては、本学の産学連携の推進役を果たすべき共同研究センターの取り組みに到らなかった部分があったのではないかと、大いに反省している。私自身、センター長としての任期は3月までであるが、この2年間の任期の間に十分な成果をあげることができなかったことについては、お詫び申し上げたい。
本学では、法人化に合わせて産学連携をこれまで以上に活発化させることをねらって、地域・産学官連携推進機構が新たに設置されることになっている。共同研究センターは、その機構の中のリエゾン部門として、中核的な役割を果たしていくことになる。次期センター長(部門長)には、新たな観点から本学の共同研究、受託研究を格段に活発化させていただきたい、とお願いして退任のご挨拶とさせていただくことにする。関係各位のご協力に心から御礼申し上げる。

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