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電気通信大学 共同研究センターメール No.36 Web版

産学官連携推進の高まり

共同研究センター長 教授 森崎 弘

去る6月7、8の両日、京都の国際会議場で内閣府主催の「第2回産学官連携推進会議」が開催された。昨年の第1回の会議では約3700人が集まったが、今年はそれを大幅に上回る4000人を超える関係者が参加していた。特に大学関係者の積極的な参加が多く、併設された展示ブースには大学、TLO、大学発ベンチャーなどが中心となって約130機関が出展し、その成果を競っていた。今回、産業界から実務者レベルの人たちの参加が比較的少なかったのが残念であったが、今後技術シーズを求める人たちの参加が増えれば、この種の会議がさらに盛り上がるのではないかと感じた。
会議の内容は極めて盛りだくさんで、初日午前の基調講演等に続いて午後に開かれた個別の課題に関する討論は、4つの分科会(「ベンチャー支援」、「企業の戦略的技術経営」、「地域クラスターと中小企業」、「大学の知的財産戦略」)で並列に議論された。このため、すべてを覗くことはできなかったが、それぞれの会場で非常に活発な議論がされているという印象を受けた。二日目には、大学が生んだ社会に役に立つ研究成果の実用化などの成果に関する表彰が行われ、東北大学名誉教授の大見忠弘氏が総理大臣賞を受賞した。
今回の会議に出席して感じたことは、産学官連携を推進しようという機運は確実に高まっているということである。我々、産学連携推進の学内での旗振り役を努める者としては、この機運を多くの教官各位に理解していただき、社会貢献が大学の果たすべき第三の使命であるというコンセンサスを学内外に醸成することがその責務と考えている。今年度になって、共同研究センターが中心になって計画している「知的財産本部」構想を学内に周知させることを目的として、その説明会を学内の全学科、専攻で開催させていただいた。学科会議や専攻会議の中に30分程度の時間をとっていただくことができ、非常に有益な質疑応答ができた。このような対話が個別の教官各位との意思の疎通を図るために有効であることがよく理解できたので、これからは様々な機会を捉えて産学連携の重要性を訴えていきたい。
吉川弘之日本学術会議会長は、上記の産学官連携推進会議での挨拶で、「最近の科学技術関連の政府予算の大幅な増額は、社会から科学研究や科学者へのメッセージであり、社会と科学が契約を交わしたことになる。その契約を履行するためには、様々な局面で科学者が適切な助言を与えることに加えて、社会の投資で科学が成果を挙げ、それを社会に還元する循環機構を機能させることが必要である」と述べている。我々はとりわけ、後者の「知の創出と活用」という大学の果たすべき循環機構をいかにバランスよく機能させていくかを日々考えながら活動を続けていきたいと思っている。学内外の諸兄のご理解とご支援をお願いしたい。

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