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電気通信大学 共同研究センターメール No.34 巻頭言

法人化と産学連携

共同研究センター長 教授 森崎 弘

平成16年4月に予定されている国立大学の独立法人化を前に、学内でもその準備が始まっている。過去に経験したことのない大掛かりな改革であることから、これからしばらくさまざまな議論や困難な作業が待ち受けていることが予想される。法人化によって大学は経営的手腕が要求されるようになり、いかに外部資金を獲得できるかによって大学の本来的使命である研究と教育の質が左右されることになる。共同研究センターの業務に関わる共同研究、受託研究もこれまで以上に重要な外部資金の調達手段となる。これまでのように企業と教官の個人的なつながりから派生することの多かった共同研究、受託研究の受入れから、大学が主体的にこれらの外部資金を導入する戦略を立てる必要性が出てくる。最近共同研究等の契約のあり方を議論する委員会に出席する機会があり、企業サイドの現行のやり方に対する不満が、大学側の責任ある当事者が分かりにくい、という点にあることが分かった。これまでの国立大学には当然のことながら法務部といった事務組織は存在しない。法人化後は、共同研究に係るすべての契約、たとえば成果の取り扱い等についても企業と大学がはっきりした契約を交わしておくことが必要となる。その上で、共同研究等を実施することが大学のみならず研究者個人の研究資金を潤沢にするようなインセンティブを持たせることが重要である。学内では現在、産学連携の推進を戦略的に進めるために、学長直属の「産学連携推進機構(仮称)」を設置して取組を本格化させようとしている。ここでは、これまでもゆるやかに連携して活動してきた、共同研究センターと本学独自のTLOであるキャンパスクリエイト、それにサテライトベンチャービジネスラボラトリーを連携させ、本学の同窓会である目黒会などの協力も仰いで、本学の産学連携を活発化させようというものである。特許等、本学の知的財産を一元的に管理するために現在準備が進められている知的財産本部も、この中に位置づけられることになる。
共同研究センター内でも、運営委員会での議論を中心に産学連携をこれまでより格段に活発化させる取組をスタートさせている。そのひとつに客員教授制度を活用して、リエゾン担当の客員教授を大幅に増やし、学内の研究シーズの掘り起こしを行うという新しい試みがある。そのような人材には、「目利き」としての実績のある人に就任をお願いしてマーケティングの観点から有望な技術シーズを見つけてもらうことを目論でいる。このような取組を継続的に行うことで、産学連携を通して本学の社会貢献につながることとともに、外部資金の導入にも寄与することを期待している。

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