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電気通信大学 共同研究センターメール No.29 巻頭言

多様化する共同研究

共同研究センター長 教授 三木 哲也

本年度は共同研究の目標件数を70件(11年度、12年度実績はそれぞれ39件、54件)としていますが、年度前半での契約数は36件でほぼ前年度並みです。今年度の目標達成は、年度後半のこれからの努力次第ということになります。さらに独立行政法人化を念頭におき、本学の将来にとって重要な共同研究を発展させて行くために、一層の工夫が必要であると考えます。
また、最近の経済状況と構造改革への動きを背景に、産業界における産学連携への期待は一層高まっていると思えます。一昔前とは質の違う、企業の命運をかけた真剣な案件が次第に増してきていることをひしひしと感じることが出来ます。このような状況において、大学と企業の双方にとって一層プロダクティブな共同研究の内容と仕組みについて、実際の経験を十分に反映して議論を盛んにして行きたいと思います。 ここで、最近の動向を踏まえて多様化する共同研究を性格付けしてみたいと思います。

  1. 新技術をベースに製品化を指向する共同研究
    現在の主流をなす最も一般的な共同研究であり、大学で生れた新技術を利用した製品化や、製品開発の過程で大学の研究成果や研究開発力を活用するタイプです。既存製品の改良や新製品の開発、あるいはその前段階のフィージビリティスタディの段階での共同研究の実績は数多く、これからも益々充実して行く必要があります。
  2. 企業化・事業化・ビジネス化を指向する共同研究
    新産業の創造ということで最近富みに期待が高まっています。大学で生れた研究をベースにベンチャー的な共同研究が必要で、SVBLや共同研究センターなどがインキュベーション機能を果たす必要があります。企業化のみならずNPOとして社会に貢献する動きも出てきているように思われます。
  3. 技術動向の調査研究を目的とする共同研究
    新技術開発、新製品開発、あるいは新規事業の検討などに先立ち、大学の技術知識と企業のビジネス情報を総合して当該分野の技術状況や市場状況を調査研究するニーズが増しています。
  4. 設計法・運用・測定分析法など利用技術に関する共同研究
    CADやシミュレータなど製品設計などに使用するソフトウェア、最新の高度な測定器や分析機器の利用法、情報ネットワークのセキュリティ対策などの運用技術などを対象とする共同研究です。実際の活用対象を持っている企業と、利用技術のノウハウを持っている大学が協力して問題を解決することは、技術の高度化に伴って重要性を増して行くものと思われます。
  5. 教育・人材育成を対象とする共同研究
    産学連携の一つの大事な課題として教育・人材育成があリます。既に行われているインターンシップや社会人教育は、共同研究の範疇ではありませんが、具体的な研究開発テーマを意識した教育プログラムや研修プログラムは共同研究の一部と考えられます。例として欧米で行われているPBL(Project Base Learning)は、日本のでも検討してみる必要がありそうに思います。

まだ、我々が気のついていないタイプの新しい共同研究スタイルがあることと思います。企業の変化にともなって多様化する社会のニーズに応えられる、幅広い共同研究へと発展させたいものです。

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