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電気通信大学 共同研究センターメール No.26 巻頭言

共同研究イブニングセミナー

共同研究センター長 教授 三木 哲也

10月20日、21日に開催された電気通信大学フォーラム2000における研究開発交流会、産学連携展示会および研究室展示会は、改善しなければならないところは多々あるものの、新たな成果を挙げることが出来たと思います。中でも新しい試みとして行われた「研究開発交流会」では、6つの分科会で大学のシーズと企業のニーズをつき合せる発表と討論が熱心に行われ、参加者も会場に入りきれない所もある程で、この様な最初の企画としては成功だったと言えるでしょう。教官からの発表をベースにしたテーマと、企業の開発ニーズをベースとした両タイプがありましたが、いずれも通常の研究開発セミナーに比べても極めて熱心な討論が行われたと思います。今回の経験を生かして、2年後の大学フォーラムでは共同研究の実績を反映させて、テーマ数も増し、さらに充実した「研究開発交流会」が行われることが望まれます。
ところで、共同研究の経験が浅い日本では、単純に米国の大学における共同研究をモデルとすることには無理があると思われます。企業と大学の関係のみならず、制度や社会的環境もいろいろなところで違っているからです。大きな違いの一つは、人材の流動性です。最近、我が国でも企業においてはひと頃に比べれば人材の流動性が出てきたとは言え、大学においては依然として流動性は少なく、このハンディキャップを如何に乗り越えてゆくかが、大きな課題であると考えます。これは、産業の活性化を支え、大学にとっては外部資金の導入として頼りになる、骨太の共同研究を日本においても実現してゆく上で、全ての共同研究センターに共通する課題ではありますが、それぞれの共同研究センターなりの試行錯誤を行い、協力して日本流の産学連携のノウハウを蓄積しなければならないと思います。
さきの「研究開発交流会」は、このような試行のひとつとして良い経験をしましたが、人材の流動性の無さを補うほどの産学の情報共有を深めるためには、もっとテーマを絞り込んで、もっと頻繁に、もっと真剣に、組織の壁を乗り越えて共同研究の芽を育てる人の輪を作る別の仕掛けが是非とも必要と考えられます。このような仕掛けに旨く発展するかどうかの保証は有りませんが、「○○テーマの共同研究ゼミ」とも言えるような関係者が集い、研究開発のシーズとニーズの両面から十分に議論する場を作ってみてはどうか、と言うことを運営委員会で議論してきました。その結果、近いうちにまず試みとして、いくつかのテーマの下に賛同する教官と企業の方々によって、このようなゼミを始めることにしました。お互いに時間の取りやすい夜の時間帯を使い、なるべく、ざっくばらんな運用を行うこととし、「イブニングセミナー」と称することにしました。
当面、想定されるテーマの分野は、情報通信、ロボティックス、エレクトロニクス、情報セキュリティなどがありますが、電通大の特長が発揮できる多くの潜在的なテーマがあると思われますので、多様なイブニングセミナーがこれから次々と開催されることを願っています。

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