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電気通信大学 共同研究センターメール No.21 巻頭言

なぜCAMPUSを創ったか

共同研究センター長 教授 梶谷 誠

本年9月1日に(株)キャンパスクリエイトが設立されました。この会社は、本学の教官と卒業生個人が出資してできた会社で、本学と社会との連携を促進するリエゾン業務を中心に、大学の教育と研究と社会貢献に関わる幅広い活動を支援する業務を請け負います。会社は通称CAMPUSと呼ぶことにしますが、大学のキャンパスという意味とともに、Coordinator of AMbitious Program between the Univesity and Society の頭文字(下線)からとったものです。

大学と社会の接点として、特に研究面での接点としての機能は共同研究センターが主として窓口になっていますので、この会社の設立に積極的に関わり、今後も密接に連携しながら、大学の社会貢献に寄与したいと考えています。

さて昨今、ことさらに社会貢献ということが叫ばれるのはなぜでしょうか? 社会貢献は新たに大学に課せられた第3の仕事なのでしょうか?たしかに現実は、大学人の仕事は多様になり、仕事量も増大しています。病気になってダウンする人も少なくありません。このままでは、先生は疲労困憊し、教育も研究も立ち行かなくなりそうです。しかし、大学は、昔も今も教育と研究の成果が期待されているのであって、教育と研究の成果なきところに社会貢献など為しえないはずです。逆に、社会に貢献しないような教育と研究は成果をあげたことにはならないとも言えます。したがって、大学の社会貢献、社会との連携が重要な大学改革の課題になっているということは、いままでの大学では、社会に貢献するような教育・研究成果が少なかったか、教育・研究の成果を社会に還元する努力が不足していたことを意味しています。両方の原因があるでしょうが、とりわけ後者の原因が大きかったのではないでしょうか。その部分に大きな時間を割かねばならなくなったことが、大学人が多忙になった大きな要因であると私は感じています。この現象は、自己矛盾をはらんでいます。教育・研究成果を世の中に広めようとしてそのための仕事に追われていると、肝心の教育・研究の時間が減少して成果が生まれなくなってしまいます。

そこで、CAMPUSに働いてもらおうというわけです。大学の人材や研究の成果を広く世の中に分かりやすく伝えることは、社会との接点の第1歩ですが、片手間にできることではありません。例えば、CAMPUSは研究室のホームページの立ち上げやメンテナンスを請け負います。CAMPUSは学内の研究分野や成果をデータベース化して発信するとともに、それらに関心を寄せる企業(特に中小企業)と研究室の連携をコーディネートします。研究室の成果の中から特許化の可能性のあるものを探し、特許化およびしかるべき企業への移転を支援します。卒業生を中心とする人材データベースを構築し、これを教育・研究のコンサルタントに活かします。大学が主催する、あるいは研究室が主催するイベントの会場設営などの裏方を引き受けます。まだまだ、やってもらいたいことはあるでしょう。

CAMPUSは株式会社です。国から予算がもらえるわけではありません。自己責任において経営を成り立たせねばなりません。大学自身も将来の存立形態がどうなるにせよ、いま以上に競争の波にさらされ、自己責任を問われるようになるでしょう。これからの大学が、本来の大学の責務を全うするためには、大学自身が営利組織でないがゆえに、それと独立なしかし密接な連携関係にある営利企業体の合理的な経営システムを利用する必要があるのではないでしょうか。

共同研究センターと同様に、皆さまのCAMPUSへの暖かいご協力とご支援をお願い申し上げます。

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