産学官連携ニュース No.26 Web版
発行:2015年9月25日
目次
- 第27回国立大学法人共同研究センター長等会議
- 国立大学法人共同研究センター長等会議写真集
- 第28回国立大学法人共同研究センター等専任教員会議
- 第100回研究開発セミナー報告
- お知らせ
- 対外活動と社会貢献
- センター長等会議 情報交換会の様子
第27回国立大学法人共同研究センター長等会議
報告:産学官連携センター長 中嶋 信生
国立大学法人共同研究センター長等会議(以下本会議という)は、平成元年より毎年9〜10月に国立大学間で持ち回りによりされ、産学官連携に関する課題や対策などの情報交換が目的となっています。開催場所は共同研究センターが設立された順となっており、今年度は本学が当番校に当たり、本会議が開催されました。参加校は62校、参加者は183人でした。電気通信大学からは、産学官連携センターの中嶋、田村、本間、田口、森倉、亀上、研究推進課の中田らが参加しました。
全体の日程は以下の通りでした。
平成27年9月17日(木) 14時〜19時30分
1.電気通信大学 福田 喬 学長の挨拶
2.基調講演:文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 次田 彰 氏
「産学官連携に関する諸課題と地域イノベーション推進施策」
3.全体会議:国立大学法人共同研究センター等教員会議報告など
4.分科会A(課題解決のための産学官の協働体制)
5.分科会B(産学官連携の関わる人材の育成)
6.情報交換会
9月18日(金) (9時30分〜12時00分)
1.招待講演:日刊工業新聞社 顧問(前社長) 千野 俊猛 氏
「マスコミから見た産学連携の課題と展望」
2.分科会報告
3.次期当番校挨拶 閉会
初日の基調講演では 次田 彰 企画官からは、地域イノベーションにおける大学の役割をテーマに、各種支援プログラムや成果の紹介、望まれる施策の姿などについてご講演いただきました。企業がなかなかイノベーションを実現できない状況にあって、大学には率先して革新技術を開拓し、その過程で大学の得意とする研究に結び付けていくような工夫が求められました。そのためには「事業化プロデューサ」の役割が重要であり、発掘と育成に期待をかけられていました。
全体会議では、次回の本会議当番校として本学と同じく平成4年に共同研究センターを設立した福井大学が選ばれました。なお、開催日時は平成28年度9月29日(木)〜30日(金)の予定です。次いで、香川大学の永富太一准教授より共同研究センター等教員会議報告がありました。
分科会では、国立大学の機能強化と地域イノベーションへの貢献に向けて、全体テーマを「共同研究センター等の機能強化」と題して2グループ(分科会A、分科会B)に分かれ議論が行われました。
分科会Aでは産学官の協調体制をテーマに、議題1:大学と企業等との協調、議題2:学内または大学間における協調、について順に議論しました。まず、各議題についてそれぞれ発表4校が自大学の活動を紹介し、それに対する質問とコメントが参加者から述べられました。まとめでは、「大学が社会の課題解決に貢献するためには、共同研究センターが異分野組織間の連携に積極的に関与して行く必要がある。そのためのスキームが各大学で工夫され成果が出つつある。医工連携では人脈と信頼関係が成功の秘訣である。」と総括されました。
分科会Bでは、人材の育成をテーマとして、議題1:大学間で連携した人材交流、議題2:人材の育成と評価について分科会Aと同様な進め方で議論しました。まとめでは、「組織間の人材交流が重要であることは共通の認識であるが、現実はごく一部に限られ、処遇や評価・ポスト確保などの課題を解決する必要がある。業績評価は一部の大学で始まっているが、キャリアパスを明確にするなどの課題がある。」と総括されました。
2日目の招待講演では、前日刊工業新聞社長で本学の特任教授でもある 千野 俊猛 氏が講演し、産業未来論による世界経済の将来予測と提言、日本の大学の課題と対応策などについて、大学とは違った見地から発言がありました。
国立大学法人共同研究センター長等会議写真集
センター長等会議全体会会場
全体会の様子
福田学長の挨拶
文科省 次田 地域支援企画官の基調講演
全体会の司会の中嶋センター長
香川大学 永富 副センター長の専任教員会議報告
分科会Aの様子
分科会Bの様子
千野 日刊工業新聞社顧問の講演
時期当番校の挨拶
三橋理事の閉会の挨拶
第28回国立大学法人共同研究センター等専任教員会議
報告:産学官連携センター 副センター長
産学官連携支援部門長/教授 田村 元紀
第28回国立大学法人共同研究センター等教員会議が、香川大学を会場として、平成27年9月3日(木)と4日(金)に開催されました。43大学より59名の参加でした。
3日の基調講演では、「産学官連携に関する諸課題と地域イノベーション推進施策」と題して文部科学省科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課 地域支援企画官の 次田 彰 氏が講演しました。現状の産学官連携の取組みを概観するとともに、次年度の概算要求では、地域イノベーション推進に関する産学官連携プロジェクトを予算要求中であることにも触れられました。
分科会では、「大学として地域創生を考える」ことを主題に、分科会1「地域創生における大学の役割」、分科会2「地域創生における大学の関与手法(進め方)」、分科会3「地域創生を進めるためにどのような組織であるべきか」に分かれ、議論しました。私は分科会3に参加しました。例年のことですが、産学官連携のあり方の議論は、大学や地方の状況と、専任教員の経験やビジョンによるところが大きく、一定の方向性が出しにくいものです。分科会3では、大学執行部の方針と連動し、URAやコーディネーター等の学内組織運営に対応しながら、地域機関との連携をいかに深め、効果的な業務を推進するか悩んでいる専任教員の姿が浮き彫りになりました。人材交流は重要と認識しつつ、実質的な異動はあまり進んでいないのが現状です。
次年度以降の産学官連携施策として、地域イノベーションに重点が置かれた取組みが強化されると思われます。首都圏多摩地区で、様々なネットワークを活かし電通大がどのように活動を展開していくか戦略的に進める必要があると感じられました。
次期関東ブロック幹事を私が務めることになり、4日の全体会議で紹介されました。
第100回研究開発セミナー報告
報告:研究推進センター(兼)産学官連携センター 特任教授 森倉 晋
第100回研究開発セミナーは「研究開発の過去、現在、そして未来へ」と題して、平成27年7月24日(金)に開催した。聴講者は71名であった。
新たな経済成長、環境・エネルギー問題、超少子高齢化社会など、近未来社会が抱える問題が顕在化しており、これらの諸問題を解決する上で、過去の事業経営や研究開発の事例に学び、同時に未来に向けた活動を加速することが強く求められている。
そこで、本セミナーでは、持続的な事業経営への指針や未来に向けた国の計画、自治体の政策など、新たな研究開発テーマを企画立案する上で注目すべき内容に取り組まれている方々にご講演頂いた。
最初に、本学産学官連携センターの中嶋 信生センター長より、「第100回研究開発セミナーへの道のりと100周年キャンパス」のタイトルで、本セミナーのこれまでの歴史を振り返るとともに、本セミナーを支える事業協力会の活動、および本学が2018年に迎える100周年記念事業としてUECアライアンスセンターの設立が紹介された。UECアライアンスセンターでは、@実用化研究の推進、A新事業創出の推進、B大学としての基礎研究の推進に向けて、新しい発想やさらなるイノベーションに繋がる「共創の場」を提供する。
次に、前日刊工業新聞社社長で、現在本学産学官連携センターの 千野 俊猛 特任教授より、
「長寿企業に学ぶ経営革新ネットワーク〜「100年経営の会」からの提言〜」のタイトルで、同氏が理事長を勤める「100年経営の会」の活動について、ご講演頂いた。「100年経営の会」は、創業以来100年を超える企業とこれを目指す企業によるネットワーク組織であり、これらの企業に共通の特色や産業未来論から見た将来予測、さらに民間企業の現場力と大学の知力の融合による経営戦略などが説明された。
さらに、総務省情報通信国際戦略局技術政策課研究推進室の 中川 拓 課長補佐より、「グローバルコミュニケーション計画の推進〜多言語音声翻訳技術の研究開発及び社会実証〜」のタイトルで、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が主導する多言語音声翻訳システムの概要および空港や鉄道などにおける社会実証の状況について、ご講演頂いた。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの際には、本技術を活用した外国人観光客向けのアプリケーションが多数準備され、「言葉の壁」がない社会のショーケースとして世界に発信されるものと期待される。
最後に、東京都産業労働局商工部技術連携担当の内田 智様課長に「世界一の都市・東京 をめざして〜中小企業の「ものづくり支援」から見た2020年オリンピック・パラリンピック〜」のタイトルで、東京都の長期ビジョンおよび次世代イノベーション創出プロジェクト2020などについて、ご講演頂いた。次世代イノベーション創出プロジェクト2020は、都内中小企業を中心とした連携体が行う技術・製品開発を長期にわたり支援する事業であり、積極的な活用が期待される。
アンケートでは、「話題が広く、大変参考になった。元気が出た。事業協力会に再加入しようと思う。」などの意見が寄せられた。
総務省 中川課長補佐の発表
東京都 内田課長の発表
お知らせ
産学官連携センター運営委員会
平成27年9月11日(金)、東7号館4階研修室において、第38回産学官連携センター運営委員会が以下の議題で開催されました。
- 客員教員の任用について
- インキュベーション施設の使用について
- 大学発ベンチャーの認定について
- 共同研究、受託研究の受入れについて
- その他報告事項
対外活動と社会貢献
テクノトランスファー in かわさき2015
平成27年7月8日(水)〜10日(金)の3日間、川崎の神奈川サイエンスパーク(KSP)において第28回目になる表記展示会が開催され、田口特任教授が視察しました。128社の企業、団体の参加がありました。
第11回イノベーションジャパン(大学見本市)2015
平成27年8月27日(木)、28日(金)の2日間、お台場の Big Sight 西館において12回目となる恒例のイノベーションジャパン(大学見本市)2015が開催されました。
本学からは、地域イノベ戦略支援プログラムから情報・通信工学専攻の 野村 准教授の「非線形超音波現象を利用した次世代音響エレクトロニクス新技術」を展示しました。展示には地域イノベ戦略プログラム担当の鎌倉特任教授、安達特任教授、田口特任教授が支援しました。今年度は西館に移ったことなどから昨年より来場者が少なかったような感じを受けました。
会場入り口
ブースの前で鎌倉特任教授と安達特任教授
TAMA新技術説明会
平成27年9月16日(水)、西立川の東京都中小企業振興公社多摩支社において、JST、TAMA協会、都立産技研主催によってTAMA新技術説明会が開催されました。説明会では、本学を含む6大学と産技研から7件の新技術の説明がありました。本学からは知能機械工学専攻の 榎木 光治 助教が「ミニチャンネル伝熱管を用いた熱交換器の開発」と題して説明しました。説明は好評で、説明後の技術相談は4社から有りました。田口特任教授、今田コーディネーターが支援しました。
センター長等会議情報交換会の様子
情報交換会の司会の田村副センター長
中嶋センター長の挨拶
文科省 次田 地域支援企画官の挨拶
千野日刊工業新聞社顧問の乾杯の御発声
情報交換会の様子
情報交換会の様子