産学官連携ニュース No.09 Web版
発行:2011年6月25日
目次
- 第7回産学官連携 DAY in 電通大 開催報告
- 第16回 共同研究成果報告会
- JST「電気通信大学 新技術説明会」報告
- 電気通信大学にインキュベーション施設が完成、稼働開始しました
- お知らせ
- 対外活動と社会貢献
- 産学官連携 DAY in 電通大写真集
第7回 産学官連携 DAY in 電通大 開催報告
報告:産学官連携センター 特任教授 竹内 利明
平成23年6月1日(水)に「第7回産学官連携 DAY in 電通大」を開催しました。今年は梅雨入りが早まり、天候を心配しましたが、お昼ごろ少し小雨がぱらついた程度で、何とか一日持ちこたえました。また、お陰様で参加人数も過去最高を更新して盛大に開催することが出来ました。ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
「産学官連携 DAY in 電通大」は、本学の産学官連携活動を一堂に集めて公開し、企業の皆様に見て、知っていただく機会として毎年開催して7年目を迎えました。今年は、学外から518名(昨年は421名)、学内からの参加者を加えると推定ですが1,000名以上が参加したと思われます。
基調講演に先立ち梶谷誠学長が、「産学官連携 DAY in 電通大」への参加のお礼の挨拶をしました。
基調講演は、大学院ベンチャー・ビジネス特論の授業を一般公開して、調布に大きな事業所を構えるアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)の日本法人創業者である大竹美喜最高顧問に「人生の座標軸を考える」という演題で講演していただきました。学生は、新たなビジネスを創出された大竹氏の講演に大きな刺激を受けていました。また、本学のMOTスクールである「技術経営実践スクール(MMPS 2011)」の社会人受講生も同時に受講、一般参加者も含め合計236名が聴講しました。
研究室公開・紹介は、過去最高の55研究室を公開しました。自由に見学出来る研究室公開の時間を2時間30分設けました。研究室紹介では、時間帯をずらして、主に教員が20分で研究内容を紹介しました。また、今年は新しい試みとして大学院生を募集するための大学院オープンラボ(研究室公開55研究室を合わせて139研究室を公開)と同時開催しました。企業の方は、公開しているどの研究室も見学できるようにしました。
団体参加のグループには、ランチミーティングへの参加を呼びかけました。今年は参加人数が増えることが予想されたため、講堂ロビーを会場としました。参加者は103名(昨年度83名)で、梶谷学長、萩野理事・産学官連携センター長、三木学長特別補佐が出席しました。当日午前中に開催したイノベーション研究棟(西11号館)の開所式に、来賓として出席していただいた長友調布市長、橋爪文部科学省大学技術移転推進室長、能見経済産業省産学官連携推進研究官には、ランチミーティングにも引き続きご出席いただきました。昼食後、学長をはじめ学内関係者と名刺交換するだけでなく、参加者同士が名刺交換して懇談すると共に企業同士の出会いの場とすることを目指しました。会場には、午後の研究室公開に積極的に参加して頂くために、建屋別に公開する研究室の情報を集約した掲示物や、プロジェクタを使っての研究室情報の投影を準備しました。この情報提供は好評でした。
イノベーション研究棟は本学が独自の予算で4月にオープンしたものですが、棟内のインキュベーション施設を外部の方に初めて公開しました。入居企業8社が、自室を公開すると共に、本学発ベンチャーでインキュベーション施設に入居していない企業4社が1階ロビーで事業内容を説明するブースを設けました。今回は、梶谷学長がインキュベーション施設に入居する全企業を訪問しました。
本学と産学連携協力協定を締結している多摩信用金庫からは、石垣理事、長島部長をはじめ多くの職員が参加しました。初めての試みとして研修中の新人職員83名全員が研究室公開見学に参加しました。これは、店舗に配属になる前の段階からお取引先の課題解決の手段として産学連携があることを認識していただくことにありました。また、本学としては、電気通信大学に対して親しみを持ち、企業から技術課題に関する相談があれば、電気通信大学を紹介できるという認識を持っていただくこともねらいとしました。この取り組みは全国的にも初めての取り組みとして、日刊工業新聞が大きく取り上げました。
また、例年通り、共同研究成果報告会、先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター講演と公開、研究設備センター設備(旧機器分析センターとサテライトベンチャービジネスラボラトリー)公開、共同研究相談会(本学の産学官連携コーディネータと株式会社キャンパスクリエイトの産学連携コーディネータ)、特許相談コーナー(知的財産本部)、各種ポスターセッション(平成22年度電通大発ベンチャー・事業化シーズ創出支援事業、学生・一般アイディアコンテスト優秀賞成果報告)を開催しました。
来年は、平成24年6月6日(水)から8日(金)の間に開催する予定です。多くの皆様のご来場をお待ちしています。どうぞよろしくお願いいたします。
産学官連携 DAY の様子は こちら でご覧いただけます。
第16回 共同研究成果報告会
産学官連携支援部門 准教授 田口 幹
第7回産学官連携 DAY in 電通大の一環として第16回共同研究成果報告会を開催しました。発表されたのは以下の4件でした。
その後、本学が中心となって展開している産学連携による新しい構想の大学院である「スーパー連携大学院」について企業の皆様向けの説明も行いました。
1.体動の影響を受けにくい脈拍計の実用化
伊藤 宏希、○西 一樹(電気通信大学)
谷川 倫章、貝沼 満(オータックス)
2.新規金属錯体に関する研究
〜ラジカルとランタノイドを用いた磁性材料の開発〜
○村上 里奈、石田 尚行(電気通信大学)
小金 民造(K-arin21)
3.小動物用蛍光断層画像の再構成アルゴリズムに関する研究
○大川 晋平、山田 幸生(電気通信大学)
池原 辰弥、小田 一郎(島津製作所基盤技術研究所)
4.地デジ屋内受信のための屋内電波環境精密測定法
○唐沢 好男、諸熊 和生(電気通信大学)
坂内 功治、茂木 智広、佐藤 智之(八木アンテナ)
5.スーパー連携大学院コンソーシアムを活用したイノベーション創出について
○田野 俊一(電気通信大学)
口頭発表分と報告のみの論文を含む「第16回共同研究成果論文集」を発行しました。
送付ご希望の方は産学官連携支援部門までご連絡ください。無料で送付いたします。
JST「電気通信大学 新技術説明会」報告
産学官連携センター 特任教授 産学官連携コーディネータ 比企 春夫
独立行政法人科学技術振興機構(JST)は、大学などの研究成果の実用化を促進するため、発明者自身が企業関係者を対象に、実用化を展望した技術説明をすることで、広く実施企業・共同研究パートナーを募る「新技術説明会」を開催しています。
この新技術説明会では、未公開特許を含む、ライセンス可能な特許技術を紹介する機会として、たいへん好評なものとなっています。今回で、4度目になるJST/電気通信大学 新技術説明会は、これまでになく多くの参加者を迎えることができ、本学の新技術に対する企業の関心の高さを伺わせました。
事前申込み者数が201人に達し、当日の来場者数も155人となり、説明件数が6件としては、充分多い結果となりました。反面、各説明の聴講者数は、73人〜126人と技術内容に大きく依存する事は、これまでと同様でした。
今後、技術相談、共同研究に向けての面談などのフォローを(株)キャンパスクリエイトのコーディネータと協力して、進めて参ります。
日時:2011年5月17日(火) 13:00〜16:50
会場:東京・市ヶ谷 JSTホール
主催:国立大学法人電気通信大学、独立行政法人科学技術振興機構
共催:株式会社キャンパスクリエイト(電気通信大学TLO)
後援:社団法人目黒会(電気通信大学同窓会)、独立行政法人中小企業整備機構
協力:全国イノベーション推進機関ネットワーク
<プログラム>
13:00〜13:10 主催者挨拶 国立大学法人電気通信大学 学長 梶谷 誠
独立行政法人科学技術振興機構 理事 小原 満穂
13:10〜13:15 研究成果の実用化に向けて〜JSTの産学連携・技術移転支援事業のご紹介〜
科学技術振興機構 技術移転総合相談窓口 酒井 尚子
13:15〜13:20 全国イノベーションネットのご紹介
全国イノベーション推進機関ネットワーク事業総括 前田 裕子
13:20〜13:50 実物体の見た目を変貌させる映像投影技術 准教授 橋本 直己
13:50〜14:20 位置情報付き画像のランキング手法: GeoVisualRank 准教授 柳井 啓司
14:20〜14:50 薄型触覚タッチパネルのための電気触覚ディスプレイ 准教授 梶本 裕之
14:50〜14:55 中小企業基盤整備機構のインキュベーション施設の紹介
中小企業基盤整備機構 インキュベーション事業課 主任 三棹 浅黄
14:55〜15:00 休憩
15:00〜15:10 電気通信大学の産学官連携活動の紹介 特任教授 竹内 利明
15:10〜15:20 (株)キャンパスクリエイトの(TLO)の活動紹介
(株)キャンパスクリエイト 代表取締役社長 安田 耕平
15:20〜15:50 マイクロ熱流束計を用いた管内流量計 准教授 小泉 博義
15:50〜16:20 情報可触化:動的な力フィードバックを利用した手作業の支援
准教授 野嶋 琢也
16:20〜16:50 持続型筋活動を誘発する神経刺激装置 教授 横井 浩史
16:50 閉会挨拶 産学官連携センター長 理事 萩野 剛二郎
<名刺交換・個別相談>
各技術説明の後、展示コーナーでの名刺交換および別室での個別相談が行われました。
新技術説明会の様子
電気通信大学にインキュベーション施設が完成、稼働開始しました
インキュベーションマネージャー 安部 博文
電通大インキュベーション施設紹介
平成23年3月末、イノベーティブ研究棟(西11号館)が完成しました。同研究棟の4階と5階は電気通信大学で初のインキュベーション施設になっています。以下、同施設についてご紹介します。
イノベーティブ研究棟(西11号館)
このインキュベーション施設の目的は、総合コミュニケーション科学の創造・発展による21世紀の社会と世界への貢献を目指す本学が長年にわたって取り組んできた研究開発の成果を生かし、大学発ベンチャーの創出や地域企業との連携により新産業・新事業を創出し地域経済への貢献を目指すことです。また、同時に大学発ベンチャーの創出・支援を通じ、本学と地域企業との共同研究や様々の連携活動の発展を目指すことも大切な目的となっています。
同施設には2フロア合わせて16区画のベンチャー育成支援ルームが準備されています。電通大の技術シーズを社会に還元する活動の展開拠点として活用していただきます。そのためベンチャー育成支援ルームへ入居するには電通大発ベンチャーの認定が必要です。平成23年6月現在、8社が入居し13区画を使用中。創業・ベンチャー支援の専門家であるインキュベーション・マネジャー(IM)のサポートを受けながら事業化を促進しています。
同施設4階にはプレベンチャールームが設けられています。これは本学の教職員及び学生で研究成果を基にベンチャー企業を設立しようという夢を持つ方のために準備されたスペース。事業可能性を探索するための個人用デスク(6席)、資料保管庫やロッカー等が整っています。プレベンチャールームにはIMのデスクやミーティング用テーブルも設置されており、人々の出会いの場・情報交換の場としても活発に利用されています。
プレベンチャールーム
同施設5階には共用会議室があり、入居者は予約した上で来訪客との打ち合わせや社内会議などに活用しています。
共用会議室
入居企業紹介
次に入居企業をご紹介しましょう。
401・404号室は、(株)ハートビーツ(藤崎正範代表取締役、2005年)。同社は365日24時間サーバー監視・管理サービスで豊富な実績を有する企業です。電通大出身の藤崎社長はインキュベーションに入居し、これまで以上に電通大の研究者・学生と密接に連携し、最新技術をベースにした新事業の開拓を目指すと意欲を見せています。
402号室は、マルチポート研究所有限責任事業組合(矢加部利幸代表、2006年設立)。同社は高周波計測装置の開発と同装置を活用した教育支援サービスを目指す非営利型のビジネスモデルが特徴です。代表者の矢加部氏は現役の電通大教員。組合で開発した計測装置を全国の高等教育機関に提供することにより、これまで手薄でだった高周波測定分野の実験環境の充実を目指しています。
406・408号室は、(株)インフォクラフト(荒川淳平代表取締役、2005年設立)。荒川社長が本学4年生の時に創業した学生ベンチャー。高度なWebサービス・システム開発力や携帯電話アプリ開発技術力で世界レベルでも先端的なエンジニアリング・サービスの提供を目指しています。
501・502号室は、(株)ワイヤレスコミュニケーション研究所(尾崎鋭一代表取締役、2002年設立)。同社は、高速無線通信技術・高精度位置検出システムの開発に強みを持つ企業で、中嶋信夫教授に技術的な監修を仰ぎながら研究成果の事業化も担っています。
504号室は(株)スマートコミュニケーション(小林裕一郎代表取締役、2010年設立)。同社は、気象・海象・環境のデータ測定及び無線通信システムによる広域防災システム開発を行っています。技術面での指導を中嶋信夫教授から受けています。
506号室は(株)Photonic System Solutions(小舘香椎子代表取締役、2008年設立)。同社は、光を使った情報処理の研究から生まれたデジタルコンテンツの照合技術を武器に動画や音楽のコンテンツ企業に向けてインターネット上の海賊版動画検索・レポートサービスを提供。本学の渡邉恵理子特任助教が技術面での支援を担当、早大理工出身の女性が取締役事業部長を務めるなど、理系女子が活躍する企業です。
507号室は(株)ファーム・フロー(朴炳湖代表取締役、2007年設立)。朴代表は電通大の元教員。イギリスで開発されたオープンソース「OpenFOAM」を活用し、ポンプやタービン内部などの閉鎖空間における熱流体のダイナミックな動きを正確にシミュレーションし、解析結果等をメーカーの設計者やエンジニアにフィードバックしています。
508号室は(株)早川地震電磁気研究所(早川正士代表取締役、2011年設立)。本学の早川正士名誉教授が開発した地震予測技術を用い、地震予知情報を提供する企業です。地震予知情報の販売に関しては当社と連携を組んでいるインフォメーションシステムズ(株)(平井道夫代表取締役、2010年設立)が受け持ちます。
インキュベーション施設の完成を機に、電通大発ベンチャー各社が活性化し、電気通信大学の社会連携活動の一端を力強く担うことが期待されています。電通大発のベンチャー企業については別の機会にご紹介します。
開所式
平成23年6月1日(水)10時30分から、リサージュ3Fフォーラムでイノベーティブ研究棟の開所式が行われ、学内外から約80人が出席しました。梶谷学長のご挨拶に始まり、長友 貴樹 調布市長、文部科学省 橋爪 淳 大学技術移転推進室長、経済産業省 能見 利彦 産学官連携推進研究官から来賓のご挨拶を頂きました。萩野野事による施設概要の説明のあと、インキュベーション施設入居企業の代表による自社紹介が行われました。
お知らせ
産学官連携センター運営委員会
平成23年6月21日(火)、本センター4階研修室において本年度第1回目の産学官連携センター運営委員会が以下の議題で開催されました。
- 共同研究、受託研究の受入れについて
- 電気通信大学発ベンチャーの認定について
- インキュベーション施設の使用について
- 電気通信大学発ベンチャー認定について
- 著作物取扱権規程の制定について
- その他報告事項
インターンシップ委員会
平成23年4月21日(木)、本センター4階研修室において本年度第1回目のインターンシップ委員会が以下の議題で開催されました。
- 平成22年度の活動概要紹介
- 平成23年度の活動予定
- その他
対外活動と社会貢献
東京お節介倶楽部総会
平成23年4月13日(水)、首都大学東京の秋葉原キャンパスにおいて本年度の東京お節介倶楽部(東京産学公ネットワーク会議)の総会が開催され、田口准教授が参加しました。今年度の活動方針が議論され、フォーラムに関して開催することは決定したものの、電力事情によって夏季の開催が不明なので時期については今後の状況を見てからということに決しました。また、本年度は東京商工会議所が事務を担当することになりました。
西京信金ビジネス交流会
平成23年4月15日(金)、新宿のハイヤットリージェンシー東京において、表記交流会が開催され、小島コーディネータ、米山コーディネータ、田口准教授が参加しました。震災後の状況にもかかわらず、300社以上がブース展示を行い、大変盛況な交流会でした。
新任教職員への説明会
平成23年5月12日(木)午前、および13日(金)午後に本センター4階研修室において今年度本学に着任された教職員の方々に向けて本学の産学官連携についての説明会を開催しました。本学の産学官連携体制、知的財産管理、利益相反マネージメント、安全保障貿易管理などについて説明しました。
産学官連携支援部門 客員教授・協力教員の会合・懇親会
平成23年5月13日(金)、本年度の産学官連携支援部門客員教授と学内の協力教員の方々に今年度の本部門の活動方針それぞれの方々のミッションなどを説明する会合が開催されました。終了後ハルモニアにおいて参加者の懇親会を開催しました。
岡山大学より来訪
平成23年6月2日(木)、岡山大学産学官融合センターより藤原センター長が来訪され、田口准教授と懇談しました。
西武信金首都圏地域支援ネットワーク開所式
平成23年6月14日(火)、西武信用金庫本店ホールにおいて首都圏地域支援ネットワークの開所式が開催され、米山コーディネータと田口准教授が参加しました。
産学連携学会第9回大会
平成23年6月16日(木)、17日(金)の二日間、佐賀大学を幹事校として本年度の産学連携学会の大会が佐賀市のアバンセを会場に開催されました。今年はインターンシップ担当の本多特任教授、知財部門の本間特任教授、小島コーディネータ、田口准教授が出席し、発表を行いました。産学連携学会は小さな学会ですが、産学連携に係わる多くの方々が参加され、100件以上の発表のそれぞれで大変熱のこもった議論が展開されました。
第7回産学官連携 DAY の様子
基調講演での学長挨拶
基調講演の大竹氏と学長
アイディアコンテストポスターセッション
アイディアコンテスト優秀賞成果報告
研究設備センター(SVBL棟)公開
電通大発ベンチャーパネル展示
アイディアコンテスト
研究設備センター(東6号館)公開
研究室公開
イノベーティブ研究棟開所式
インキュベーション施設公開
ランチミーティング
共同研究成果報告会
共同研究・知的財産相談会
事業化シーズ創出支援事業成果報告会
AWCC講演会