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産学官連携ニュース No.03   Web版

発行:2009年12月25日

目次

第21回国立大学法人共同研究センター長等会議

産学官連携センター 准教授 田口 幹

第21回国立大学共同研究センター長等会議は、当番校である横浜国立大学により横浜市のヨコハマ グランドインターコンチネンタルホテルを会場として平成21年10月29日(木)、30日(金)の2日間開催され、全国62大学(含むオブザーバーの龍谷大学)の各センターから各センター長、専任教員、研究協力関係事務員など横浜国立大学以外から155人が参加しました。本学からは 下条 産学官連携支援部門長、田口 准教授、蔭山 研究協力課産学連携係長の3名が出席しました。
 会議は、鈴木 邦雄 横浜国立大学長のご挨拶の後、基調講演、所管事項説明を文部科学省研究環境振興局研究環境・産業連携課の 柳 孝 課長が「産学官連携の現状と今後の展望」と題して講演しました。その後、全体協議で次期当番校を山口大学とすることを決めた後、2つの分科会に分かれての協議に移りました。
今回の会議では分科会A「産学官連携のための学外施策について」および分科会B「産学官連携のための学内施策について」の2テーマについて前もって各大学に資料を提出していただき、それを基に詳しい報告と議論を進めるという形で行われました。
分科会Aではサブテーマ「(1) 地域連携の効果的な推進施策」について、山口大学産学公連携・イノベーション推進機構産学公連携支援部門長の山本 節夫教授の司会で協議しました。まず、地域連携の推進は、各大学、特に共同研究センター等にとっては重要な課題であること、連携による地域経済活性化・新産業創出への自治体や地域企業からの期待が高まっていることから、各大学の強みと弱みを把握した上で、明確な課題の設定とその施策について議論しました。続いて、「(2) 競争的外部資金の効率的な活用と管理」について横浜国立大学産学連携推進本部副本部長の中野 孝昭教授の司会で、まず、昨年の世界同時不況に対する景気浮揚策として補正予算をはじめ大型予算が組まれているし、産学連携に関する競争的外部資金も大幅に増額されているが、一方で地域負担分が多いものや、事業完了後の運用資金のあてのないもの、資金の使い方が不便で管理に多くの労力を要するものなど、必ずしも効率的な運用にそぐわないものも多いとの共通認識の基、各大学の取り組みと望ましい競争的外部資金の運用および管理について議論しました。
分科会Bではサブテーマ「(1) 産学連携人材の育成と確保」について、奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究調査センター久保 浩三教授の司会で産学連携人材(知的財産関連も含む)の育成と確保については、現在も非常にホットで重要な課題であるが長期的な視点に立った課題も多いとの共通認識の基、協議しました。続いて、「(2) 産学連携の学内横断体制の構築」について、神戸大学連携創造本部産学官民連携推進部門長 中井 哲男教授の司会で、まず、産学連携活動は、単一の課題解決の案件から産業界の多様なニーズに応える必要性も高まっていること、新産業創出を行うには、領域横断型の複数の技術を統合するプロジェクト運営を行うことも必要であり広く求められているため「縦割り組織」と揶揄されることも多い大学の組織体制から、より柔軟で効率的な学内横断体制の構築への施策が望まれているという共通認識の基、協議しました。
2日目は「Nissanのイノベーションへの取り組みと産学公連携への期待」と「産業革新機構と産学官連携」の2つの特別講演があり、前日の分科会の報告の後、来年度の会議を開催する山口大学産学公連携支援部門長山本 節夫教授の挨拶で本会議は終了しました。

センター長等会議の様子
センター長等会議の様子

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第76回研究開発セミナー報告

産学官連携センター特任教授 山田 實/菊地 勝浩

第76回研究開発セミナーは、「非接触ICカードの先進技術」−タッチで変わる私たちの未来社会― をテーマに平成21年10月20日(火)14:00から電気通信大学産学官連携センター4階研修室において開催されました。
「スイカ」や「パスモ」等で広く利用されている非接触ICカードは、社会インフラとして私たちの生活に広く浸透しています。また、非接触ICカードと携帯電話の融合から「おサイフケータイ」という新しいサービスが提供され、私たちのライフスタイルも変わりつつあります。今回のセミナーでは、非接触ICカードのハードとソフト分野における最先端で活躍されている専門家の方々に、非接触ICカードの基本であるFeliCa(フェリカ)技術、IC乗車券システムの仕組み、おサイフケータイの利用事例、そして非接触カードを用いた新たなサービスの展望等を講演して頂きました。はじめに、産学官連携支援部門長の下条誠教授からご挨拶を頂き、セミナーが開始されました。
最初の講演は「モバイルFeliCaの仕組みと開発」と題して、フェリカネットワーク株式会社開発部・2課統括課長の栗田 太郎 様からご講演を頂きました。講演では非接触ICカードの基本技術であるFeliCa(フェリカ)の仕組み、またFeliCa技術と携帯電話を融合させたモバイルFeliCa(サービス名称:おサイフケータイ)の仕組みや開発の手法について説明して頂きました。講演の中で紹介して頂いた、事業を世界に展開する場合の国際規格の大切さと規格認証を得る難しさ、またソフトウエア開発における課題と対応方法には、参加した聴衆の方々からも共感が得られたようでした。
次に「鉄道におけるICカード乗車券システムの開発」と題して、財団法人鉄道総合技術研究所輸送情報技術研究部旅客システム研究室長の松原 広 様からご講演を頂きました。講演では、ICカード乗車券の開発経緯、開発における技術的ブレークスル、ICカード乗車券システムの現状と交通分野以外への展開等について紹介して頂きました。開発経緯の説明の中で、共同開発者の変更や鉄道事業者によるICカード乗車券採用の際に、技術だけではなく、人と人の関わりが大きく影響している点が特に印象的でした。
休憩を挟んで後半最初の講演では「おサイフケータイで変わる非接触ICカードの世界」と題して、株式会社NTTドコモフロンティアサービス部担当部長の中村 典生 様からご講演を頂きました。講演では、(1)おサイフケータイの普及状況、(2)決済・交通におけるサービス事例、(3)ICカード機能のオープンな利用、(4)リーダ・ライタとしてのケータイの利用、(5)おサイフケータイの今後の展開について分かりやすく解説して頂きました。特に、おサイフケータイの多彩な機能には目を見張るものがあり、今後の展開が期待されました。
最後の公演では「かざす文化で社会が変わる!IC de ECO」と題して、日本電気株式会社流通・サービス・交通営業本部マネージャー奥山祐一様からご講演を頂きました。講演では、おサイフケータイにより生み出される新たなサービスを展開したいメーカー側、それをサービスに転換する事業者側、さらにはそれを利用する顧客側がともにwin-winとなるための成立のポイントを、具体的な例として、コンビニの「電子会員証」やテーマパークの「電子チケット」を取り上げて紹介して頂きました。その中で、関西にあるテーマパークでのおサイフケータイによる予約サービスは興味を引くものでした。このようなサービスがもっと早く出て来ていたらと感じられるとともに、ここで提供されているような魅力的なサービスがあると、利用者は多少めんどうな携帯の操作の壁を乗り越えて来ることに驚きを感じました。(参加者:43名)

第76回研究開発セミナーの様子
第76回研究開発セミナーの様子

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第77回研究開発セミナー報告

産学官連携センター特任教授 長竹 和夫/小山 純一

第77回研究開発セミナーは、「ロボット技術」−ヒューマンアシスト、ロボットセンサ技術−をテーマに、平成21年11月17日13:30から開催されました。参加者・講師を合せて58名の参加者を得て大盛況に行われました。今回のセミナーは近年、わが国の少子高齢化と、それに伴う労働人口の減少などの問題に対して、ロボット技術を活用し、人間生活のアシストを行うべきであるとの気運が高まる中、日本では他国に先駆け産・学・官で研究・実用化が進められており、センシング・モーション技術から、実用装置まで最先端技術を紹介する場として企画され、大学企業から5件の講演を行っていただきました。
まず、電気通信大学 知能機械工学科 教授 下条 誠 先生より、「ロボット用センサの新たな展開」と題し、ロボット用皮膚感覚の新たな展開として、近接情報から接触までをシームレスに検出できる面状の2.5次元触覚センサ、および薄型簡易構造で高感度・高速応答可能なすべり覚センサについて、その原理と応用に関してのご講演を頂きました。
次に、早稲田大学 生命医療工学研究所 准教授 岩田 浩康先生から「人の自立を支援する次世代RT」と題し、ご自身の研究成果である、家事支援や高齢者の介助支援を実現するために必要な機能を備えた人間共存ロボットTWENDY-ONEならびに、感覚障害を抱える片麻痺者の運動学習を支援する次世代型リハビリ支援装置の紹介がありました。
3番目の講演として、芝浦工業大学 システム工学部 機械制御システム学科 准教授 田中 英一郎 先生から、「高齢者・リハビリ患者向け歩行・作業補助機の開発」と題し、労働人口・介助者・介護者の減少、要介助介護者の増加と言った高齢社会に向け研究として、場所を選ばず使用可能な歩行補助機や、各種入力方法により腕の持ち上げ動作、追従動作を行う作業補助機についての紹介がありました。
休息を挟んで後半の部は、企業での研究開発のコンセプト、成果についての講演が行われました。
株式会社安川電機 ロボット事業部 新規ロボット事業統括部 部長 小川 昌寛 氏から、「双腕ロボットによるソリューション進化」と題し、同社の取組みとして、産業構造の変化から見たロボット需要創造から成長シナリオ・方向性、具体的なソリューションが示され、最先端技術と今後の展開について紹介がありました。
最後の講演は日本精工株式会社 メカトロ技術開発センター 先端技術研究所 副主査 飛田 和輝 氏から「ヒューマンアシストロボットへの取り組み」と題し、同社で研究開発されている視覚障害者のアシストを目指した脚車輪型ロボット、ガイダンスロボットやその中に盛り込まれた自立走行、外界認識、情報伝達等の技術内容について紹介がありました。
全講演を通じて、参加された方々の「ロボット技術」に対する関心は高く、講演内容もセンサ等の要素技術からヒューマンアシストの具現化の実例等中味の濃い内容であり、人間と共存し安全で頼りになるロボット社会がそれ程遠くないと認識できるセミナーだったと思います。

第77回研究開発セミナーの様子
第77回研究開発セミナーの様子

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第78回研究開発セミナー報告

産学官連携センター特任教授 桑江 良昇

第78回研究開発セミナーは、『「太陽電池」− 究極のエネルギー・環境技術 −』、を基調テーマに以下の要領で開催しました。
  日 時:2009年12月3日(木) 13:30〜17:00
  場 所: 電気通信大学 総合研究棟 3階 マルチメディアホール
  参加者:67名
  ○ 「太陽光発電システム −21世紀の選択−」〜21世紀世界基幹エネルギーへ向けて〜
    東京工業大学 統合研究院(ソリューション研究機構)特任教授 黒川 浩助 様
  ○ 「各種太陽電池の技術動向」〜ビジネスチャンスがここにある〜
    産業技術総合研究所 太陽光発電研究センター 産業化戦略チーム チーム長 増田 淳 様
  ○ 「多結晶シリコン太陽電池の実用化技術開発」〜高効率化の限界は?〜 
    三菱電機株式会社 中津川製作所 太陽光発電システム部 部長 有本 智 様
  ○ 「巨大産業になるかもしれない太陽光発電ビジネス」〜世界の累積設置量2000GWを目指して〜
    一般社団法人太陽光発電協会 シニアアドバイザー 小西 正暉 様
地球温暖化対策の切り札として期待されている太陽電池について、全体概要、基礎研究、実用化および普及に関して、各分野を代表する専門家に、最新の状況を講演していただきました。朝からのあいにくの雨にも関わらず、多くの聴講者が参加し、熱心な質疑が展開されました。
 まず東京工業大学黒川様は、基調講演として、全体概要を話されました。数週間前に本セミナー事務局に提出したテキストには載っていない最新のスライドも使って世の中の動き等をご説明しました。太陽光発電の真の価値は、環境持続性と生存可能性にあることを述べ、また技術開発面ではPV2030ロードマップ(注:PV=太陽電池)のシナリオをご説明しました。会場から、地球全体を繋ぐことで常時太陽光を利用するという構想に関する質問がありました。
 続いて産業技術総合研究所増田様は、基礎研究の面から、各種太陽電池(シリコン系、化合物系、有機系)の技術動向を、同研究所内外の最新の実例を交えてご説明しました。また、太陽電池には部材メーカーおよび装置メーカーが事業機会として大きな関心を示していることが述べられました。会場からの産業技術総合研究所と産との連携状況に関する質問に対して、産も参加しているコンソーシアムの実施状況を説明されました。
 この後、三菱電機株式会社有本様は、多結晶シリコン太陽電池のパネルメーカーの立場から、市場動向、同社事業の状況、太陽電池の高効率化および今後の展望について述べられました。この中で高効率化のポイントとして水素パッシベーション、セル表面の低反射化、等を挙げられました。当該太陽電池の量産品の変換効率は18%もおそらく可能であるとご説明しました。会場から、中小企業の太陽電池産業への参入分野は何か、等の質問がありました。
 最後に太陽光発電協会小西様はご自宅での施工例も交えて普及の話をされました。また、集光型太陽電池関連および施工に有用な影の予測手法に新規ビジネスの機会があると述べられました。世界の発電量の10%(2000GW)を太陽電池でまかなうとし、2015年〜2025年の10年間で準備するとすれば10兆円/年の巨大市場になるとの試算を示されました。会場から太陽電池の本命技術は何かの質問があり、これに対して特徴を活かして棲み分けると答えられました。
 なお、前半と後半との間の休憩時間および後半終了後の時間に実施した講師と聴講者との名刺交換会も盛況でした。

第78回研究開発セミナーの様子
第78回研究開発セミナーの様子

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対外活動と社会貢献

シナジースキーム事業「ものづくり企業への新たな事業機会づくり」

平成21年10月2日(金)、調布市商工会主催、本学後援のシナジースキーム事業の開校式が梶谷学長も出席され、多くの来賓の方々のご参加を得て調布市グリーンホールで開催されました。本年度は「ものづくり企業への支援」として中小企業の技術者向けの「技術専門セミナー」を開催し、電気通信大学の教員が講師として協力しました。全8テーマ、16回の講義と1回の研究室見学を行いました。各回とも40名程度の参加があり、全体では122名の方が参加しました。今回は本センターの提案で、ものづくり系の企業の中で機械系中心でない技術者のためにコンピュータ支援加工、メカトロ技術などの基礎を、機械系の技術者のために電子回路、EMC、無線通信技術の基礎を、全体向けに問題解決法、環境への配慮、信頼性を講義する方針としたため受講者には大変好評でした。

第20回ふちゅうテクノフェア

平成21年10月16日(金)、17日(土)の両日、府中市のルミエール府中を会場として表記工業技術展が開催されました。本センターから比企コーディネータ、小島コーディネータ、田口准教授が参加し、本学の産学官連携の紹介を行いました。

東京都中小企業振興公社「多摩・産業コミュニティ活性化プロジェクト」

平成21年10月23日(金)、立川市のパレスホテル立川において東京都、東京都中小企業振興公社が多摩地区に計画している3つの産業活性化プロジェクトのキックオフイベントが開催されました。「計測・分析産業」は首都圏産業活性化協会(TAMA協会)、「半導体・電子デバイス産業」はキャンパスクリエイト、「ロボット産業」は青梅商工会議所がまとめ役として担当します。本センターも積極的に支援します。

第10回ビジネスフェア from TAMA

平成21年11月5日(木)、新宿NSビルにおいて西武信用金庫、TAMA協会主催の表記展示会が開催され、190社が展示し、33の産学連携機関が参加しました。本センターから比企コーディネータ、小島コーディネータ、田口准教授が参加し、本学の産学官連携の紹介を行いました。また、前日には10周年記念のオープニングセレモニーが新宿の京王プラザホテルで開催され、こちらも1,000人を超える参加者で盛り上がりました。

横浜市産学連携フォーラム

平成21年11月12日(金)、横浜市ワールドポーターズのイベントホールにおいて横浜市、(社)横浜市工業界連合会、品川区、大田区、川崎市などが主催、関東経済産業局後援の産学連携フォーラム「センサ・制御技術ジョイントセッション」が開催され、本学と東京電機大学、日本医科大学の研究成果講演とポスター展示を行いました。本学からは本センターの支援で西 一樹准教授、末廣 尚士教授と田口准教授が講演と展示で、冨沢 哲雄助教が展示で参加しました。60名以上の方々が出席され、この分野への関心の高さが伺えました。

「ロボット産業交流会in 立川」

平成21年11月16日(月)、立川市のパレスホテル立川において、青梅商工会議所主催で前記産業活性化プロジェクトの一環である「ロボット産業」のキックオフイベントが開催され、関心のある多くの企業が参加しました。基調講演の後、本学をはじめとする5大学がロボット研究の紹介を行いました。本センターから比企コーディネータ、小島コーディネータ、田口准教授が参加し、本学の産学官連携支援を紹介しました。

Embedded Technology 2009

平成21年11月18日(水)〜20日(金)の3日間、パシフィコ横浜において恒例の表記展示会が開催されました。本学から展示参加し、本センターから比企コーディネータ、小島コーディネータ、田口准教授が支援しました。

2009国際ロボット展

平成21年11月25日(水)〜28日(土)の4日間、東京 Big Sight において2年に一度の表記展示会が開催されました。本学からは下条研究室、長井研究室、田口研究室が展示参加しました。本センターから比企コーディネータ、小島コーディネータ、田口准教授が支援しました。

「半導体・電子デバイス産業と産学官連携」

平成21年12月10日(木)、本学80周年記念会館リサージュにおいて、キャンパスクリエイト主催で前記産業活性化プロジェクトの一環である「半導体・電子デバイス産業」のキックオフイベントが開催され、関心のある多くの企業が参加しました。

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お知らせ

産学官連携センター運営委員会

平成21年11月13日(金)、本センター4階研修室において第3回産学官連携センター運営委員会が以下の議題で開催されました。

  1. 共同研究・受託研究の受入れについて
  2. 電気通信大学発ベンチャーの認定について
  3. インテレクチュアルベンチャー社との基本契約について
  4. その他報告事項

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